漢方生薬辞典

約780種の生薬を五十音順に紹介。日本の漢方薬や伝統薬に配合されている和漢生薬、民間薬、ハーブなども紹介。

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生薬名(た~と)

冬瓜子

○冬瓜子(とうがし) 熱帯アジア原産とされるウリ科のつる性の一年草トウガン(Benincasa hispida)の成熟種子を用いる。また果実を冬瓜、果皮は冬瓜皮といい薬用にする。 トウガンは古くに中国から渡来し、10世紀ころには日本でも栽培が行われていた。今…

○銅(どう) 銅は古くから中国や日本では金(小金)・銀(白金)と並んで三品といわれ、今でも銅のことをアカガネ(赤金)とも呼んでいる。銅は日本に比較的多く産出する金属で、銅鉄鋼としては黄銅鋼が最も重要である。鉱物学的にいえば天然に単体で産する…

天羅水

○天羅水(てんらすい) ウリ科のヘチマ(Luffa cylindrica)の茎中の汁を用いる。ヘチマの果実は糸瓜といい、果実の繊維を糸瓜絡という。盛夏から夏の終わりごろ、ヘチマの茎の地上50cmのところで切り、雨水が入らないように根のほうの切り口を瓶の中に…

天雄

○天雄(てんゆう) キンポウゲ科の多年草トリカブト類の細い根を天雄という。一般にトリカブト類の根は附子という名でよく知られているが、根は茎に続く塊根(母根)の周囲に数個の新しい塊根(子根)が連成している。 本来、この母根を烏頭といい、子根を附…

天門冬

○天門冬(てんもんどう) 日本の関東地方以南、台湾、中国などの暖かい海岸の砂地に自生するユリ科のつる性多年草クサスギカズラ(Asparagus cochinchinensis)の塊根を用いる。スギの葉に似た葉状枝のあることからクサスギカズラといわれ、同属植物にはアス…

天名精

○天名精(てんめいせい) 日本の全土、朝鮮半島、中国などに分布するキク科の越年草ヤブタバコ(Carpesium abrotanodes)の根や茎を用いる。根から出た葉の形が卵形でタバコの葉に似ているためヤブタバコという。ちなみにヤブタバコの果実は鶴虱といい、駆虫…

天麻

○天麻(てんま) 日本、中国、台湾などに分布するラン科の多年草オニノヤガラ(Gastrodia elata)の根茎を用いる。雑木林の中の陰湿地に生える腐生ランの一種で、塊茎でナラタケの菌糸と共生して栄養分を作るため、オニノヤガラには葉緑素はなく、茎も黄赤色…

天南星

○天南星(てんなんしょう) サトイモ科の多年草マムシグサ(Arisaema serratum)やウラシマソウ(A.thunbergii ssp.urashima)などの同属植物の塊茎を用いる。中国産の基原植物には天南星(A.consamguineum)、ヒロハテンナンショウ(A.amurense)、マイヅル…

天竺黄

○天竺黄(てんじくおう) イネ科マダケ(Phyllostachys bambusoides)や青皮竹(Bambusa texilis)、大竹節(Indosasa crassiflora)などのタケに寄生する竹黄蜂によって穴が開き、竹の節の間に溜まった塊状のものを天竺黄という。しかし、自然に産するもの…

天葵子

○天葵子(てんきし) 中部地方以西、朝鮮半島、中国などに分布するキンポウゲ科の多年草ヒメウズ(Semiaquilegia adoxoides)り全草を天葵といい、塊根を天葵子という。塊根が烏頭に似て小型なためヒメウズといい、その形がネズミの糞に似ているため千年老鼠…

テリアカ

○テリアカ 古代ローマ帝国で創製されたといわれる万能解毒剤のことをいう。紀元前1世紀に国会の南にあるポントス王国の国王ミトリダテス作ったとされる解毒剤ミトリダトをローマ皇帝ネロの侍医であるダモクラテスが改良し、これに、やはりネロの侍医である…

○鉄(てつ) 紀元前1500年ごろからインドや黒海北岸で木炭を燃料として製鉄が始まったとされている。中国では紀元前6世紀ごろから鉄器の製造が始まった。 製鉄の原料はおもに赤鉄鉱(Hematite)、褐鉄鉱(Limonite)、磁鉄鉱(Magnetite)であるが、天…

葶藶子

○葶藶子(ていれきし) 日本では各地に広く分布しているアブラナ科の越年草イヌナズナ(Draba nemorosa)の種子を葶藶子という。中国産は日本にも帰化植物として普通にみられるアブラナ科のマメグンバイナズナ(Lepidium virginicum)やヒメグンバイナズナ(…

通草

○通草(つうそう) 中国南部の各地方に自生するウコギ科の常緑低木カミヤツデ(Terapanax papyriferum)の幹の白い髄を用いる。日本でも温暖地で観賞用に栽培されている。和名のカミヤツデは「紙八手」と書き、ヤツデによく似た茎や掌状の葉を有している。 …

陳皮

○陳皮(ちんぴ) 日本ではミカン科のウンシュウミカン(Citrus unshiu)の果皮を用いる。本来は新鮮なものを橘皮、その古くなったものを陳皮といっていたが、日本では区別しない。中国ではオオベニミカン(C.tangerina)やコベニミカン(C.eryhrosa)など多…

猪苓

○猪苓(ちょれい) 日本の北海道や東北地方、朝鮮半島、中国各地などに分布する担子菌類サルノコシカケ科のチョレイマイタケ(Polyporus umbellatus)の乾燥した菌核を用いる。 チョレイマイタケは山林中のブナ、ミズナラ、カエデ、クヌギなどの腐食した根に…

苧麻根

○苧麻根(ちょまこん) 中国からマレーシアを原産とするイラクサ科の多年草ナンバンカラムシ(Boehmeria nivea)の根を用いる。また茎皮を苧麻皮、葉を苧麻葉、花を苧麻花という。 古くから日本でも栽培され、野生化した帰化植物で、カラムシという名は韓国…

猪胆

○猪胆(ちょたん) イノシシ科の動物ブタ(Sus scrofa domestica)の胆嚢を猪胆といい、胆汁を猪胆汁という。ブタは主要な家畜であり、中国では紀元前2800年頃から飼育されていたという。 ブタはイノシシを飼い慣らした家畜であり、品種はかなり多い。性…

楮実

○楮実(ちょじつ) 日本の中部地方以南および中国、台湾に分布するクワ科の落葉高木カジノキ(Broussonetia papyrifera)の成熟果実を用いる。コウゾ(B.kazinoki)とともに和紙の製紙原料として栽培されている。 果実にはサポニン、ビタミンB、脂肪酸のリ…

釣藤鉤

○釣藤鉤(ちょうとうこう) 中国南部、日本では関東以西の産地に自生するつる性木本、アカネ科のカギカズラ(Uncaria rhynchophylla)の鉤の付いた茎を用いる。中国にはトウカギカズラ(U.sinensis)など多種の同属植物があり、それらも使用している。 中国…

丁字

○丁字(ちょうじ) インドネシアやマレーシア、東アフリカなどで栽培されているフトモモ科のチョウジ(Syzygium aromaticum)の蕾を用いる。果実は母丁香といい、また古代中国では果実の形が鶏の舌に似ているとして鶏舌香とも呼ばれていた。チョウジという名…

地楡

○地楡(ちゆ) 日本各地およびアジアからヨーロッパにかけて分布するバラ科の多年草ワレモコウ(Sanguisorba officinalis)の根および根茎を用いる。ワレモコウは秋の野草の一つで生け花にも用いられ、また春先には若い葉をおひたしにして食べる。 ワレモコ…

茶葉

○茶葉(ちゃよう) 中国原産のツバキ科の常緑小高木チャ(Camellia sinensis)の葉の乾燥したものを用いる。茶の変種としてインドのアッサム地方原産のアッサム茶もある。 中国では紀元前10世紀の周の時代に薬用とされ、紀元前3世紀ごろに嗜好品とされ始…

知母

○知母(ちも) 中国東北部から北西部にかけて分布し、日本にも江戸時代に渡来し、栽培されているユリ科のハナスゲ(Anemarrhena asphodeloides)の根茎を用いる。葉がスゲに似て花がそれより美しいためその名がある。中国河北省が主産地として有名で、品質の…

蜘蛛

○蜘蛛(ちしゅ) コガネグモ科のオニグモ(Aranea ventricosa)の全虫を用いる。オニグモはダイミョウグモともいわれ、日本各地に分布する。全体が黄褐色で腹部は丸くて大きく、体長はオスが約2cm、メスが約3cmである。夕方になると大きな円い網を張り…

竹瀝

○竹瀝(ちくれき) イネ科ハチク(Phyllostachys nigra)の茎を火であぶって流れ出た液汁を竹瀝という。新鮮な竹棹を縦に割って火であぶると両端から液が流れ出る。竹瀝はこれを集めたもので、青黄色ないし黄褐色の透明な液体で焦げた臭いがある。 漢方では…

竹葉

○竹葉(ちくよう) イネ科ハチク(Phyllostachys nigra)の葉のことを竹葉という。イネ科のササクサ(Lophatherum gracile)り全草を淡竹葉といいう。しかし竹葉と淡竹葉とはしばしば混同され、日本ではハチクの葉を和淡竹葉ということもある。 ハチクは中国…

竹節人参

○竹節人参(ちくせつにんじん) 北海道から九州までの山地に自生するウコギ科の多年草トチバニンジン(Panax japonicus)の根茎を用いる。竹節人参は竹参、土参ともいう。葉がトチノキの葉に似ているところからトチバニンジンといわれ、根は竹の根に似て節く…

竹筎

○竹筎(ちくじょ) イネ科のハチク(Phyllostachys nigra)の茎の中間層を用いる。まず第一層の緑色の外皮を薄く削り取り、つぎに中間層を削って帯状にする。黄緑色ないし淡黄白色で、ざらざらしており、よい香りがする。 成分にはトリテルペノイドのアルン…

竹巻心

○竹巻心(ちくけんしん) イネ科ハチク(Phyllostachys nigra)のまだ開いていない幼葉を用いる。マダケ(P.bambusoides)などの幼葉も用いられる。通常は明け方に摘み取った新鮮なものを用いる。 ハチクは葉を竹葉、内皮を竹筎といい、薬用にする。竹巻心の…