漢方生薬辞典

約780種の生薬を五十音順に紹介。日本の漢方薬や伝統薬に配合されている和漢生薬、民間薬、ハーブなども紹介。

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あまにん

○あまにん(亜麻仁)

 中央アジア原産のアマ科の一年草アマ(Linum usitatissimum)の種子を用いる。アマは茎に強い繊維があり古くからリンネル(リネン)として用いられ、また種子からはアマニ油(亜麻仁油)という良質の乾性油が採れる。亜麻の品種は繊維用と油用とで異なり、繊維用は旧ソ連ベルギー、採油用はアメリカ、カナダなどと世界各地で栽培されている。日本には17世紀に薬用として亜麻仁油をとるのが目的で中国から伝わったが、明治初期になって繊維用が北海道に導入された。リンネルとは亜麻布のことで、夏用の服地、肌着、シーツ、キャンバスなどに利用されている。アマニ油はペンキや油絵具、印刷インキなどの工業用としても重要である。日本は生薬名を亜麻仁というが、中国では一般に亜麻子とか胡麻子と称しているため、胡麻と混同しやすいので注意が必要である。

 亜麻油には、他の植物性油にあまり含まれていない必須脂肪酸のα-リノレン酸が多く含まれている。亜麻リグナンは、腸内細菌によって代謝され、女性ホルモン様の作用があるとして注目されている。このため更年期障害の改善や乳癌、結腸癌などの予防に効果があると期待されている。その他、亜麻仁には緩下作用や刺激緩和作用があり、便秘や咽頭の痛みなどにも用いられている。

 漢方では潤腸・止痒の効能があり、便秘や湿疹、脱毛などの治療に用いる。また、かつてハンセン病や肺結核の治療にも用いられた。民間療法では皮膚の痒みに種子をすりつぶして外用する。健康食品ではオメガ3系脂肪酸であるα-リノレン酸の補給として亜麻仁油(フラックスシードオイル)が、亜麻リグナンや食物繊維の摂取には亜麻仁(フラックスシード)が薦められている。ただし亜麻仁油には微量の青酸配糖体が含まれており、過量に使用しないほうがいい。また亜麻仁油は酸化されやすいため、なるべく新しいものを摂取する。
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