漢方生薬辞典

約780種の生薬を五十音順に紹介。日本の漢方薬や伝統薬に配合されている和漢生薬、民間薬、ハーブなども紹介。

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鬱金

鬱金(うこん)

 熱帯アジア原産で、インド、東南アジア、中国南部などで栽培されているショウガ科の多年草ウコン(Curcuma longa)の根茎を用いる。ウコンの根茎の皮を除いた乾燥し、粉末にしたものが香辛料のターメリックである。カレー粉の黄色の主原料として、また沢庵やピクルスの着色料としても用いられている。

 日本には江戸時代中期に渡来し、沖縄県や九州南部で栽培されている。ウコンのことをウッチンというのは沖縄県の方言である。ところで日本と中国ではウコンの植物名や生薬名が錯綜しているので注意が必要である。

 植物名では日本でいうウコンは中国では姜黄といい、日本のキョウオウ(春ウコン)は中国では鬱金という。一方、生薬名では日本でいう鬱金は、ウコンの根茎と規定されているのに対し、中国の生薬で鬱金といえば、ウコン、キョウオウ、ガジュツの根の先にある紡錘形の塊根のことであり、姜黄といえば、ウコン、キョウオウの茎と続いている根茎の部分をいう。すなわち、日本市場の鬱金は、中国の姜黄のことであり、その中のウコンを基原植物とするもののみをいう。一方、中国の鬱金は玉金とも呼ばれ、市場ではウコン(C.longa)のものを広玉金、キョウオウ(C.aromatica)のものを川玉金と称している。

 ところで、健康食品市場において利用されているウコンには、秋ウコン、春ウコン、紫ウコンの3種類がある。秋ウコンはC.longa、春ウコンはC.aromatica、紫ウコンはガジュツC.zedoariaのことを指している。これとは別にインドネシア原産のクスリウコン(C.xanthorrhiza)というウコンも注目されている。また、白ウコンと呼ばれているのは、ハナショウガ(Zingiber zerumbet)のことであり、ショウガ科ではあるが、全く種類の違う植物である。

 このうち秋ウコンは香辛料ターメリックの原料として、また健康食品として最も多く利用されている。春ウコンは秋ウコンに比べ強い苦味と辛さがあるため、食用には不向きであり、専ら薬用として栽培されているが、生産量もあまり多くない。根茎の切断面では秋ウコンは赤みがかった黄橙色であり、春ウコンは明るい黄色である。ガジュツは根茎の切断面が紫色がかった青白色のため紫ウコンと呼ばれている。

 黄色い色素成分はクルクミンであり、秋ウコンには春ウコンの約10倍も多く含まれ、一方ガジュツにはクルクミンはほとんど含まれていない。黄色色素のクルクミンはウコン(秋ウコン)の方が多く含有するが、クルクモール、クルクメンなどの精油成分はキョウオウ(春ウコン)のほうが豊富である。動物実験で、クルクミンに皮膚癌の発生を抑制することが報告され、クルクモールにも抗癌作用が認められており、中国では子宮癌の臨床に用いられている。

 日本では中国名の鬱金(玉金)はほとんど流通していないが、中国医学では鬱金に関して次のように説明されている。中国医学では鬱金は姜黄と同じく活血・理気薬であるが、鬱金(日本名:川玉金)の薬性は寒であるのに対し、姜黄(日本名:鬱金)は温として区別して扱われている。

 漢方では理気・活血・止血・退黄の効能があり、胸脇部や腹部の疼痛、乳房の痛み、月経痛、鼻血、吐血、煩燥、黄疸、肝炎などに用いる。鬱金は血中の気薬といわれ、気滞と同時にお血を改善して疼痛を緩和する。ストレスなどによる胸や腹の痛みや月経痛には柴胡・香附子などと配合する。腹部の腫塊には丹参・ガジュツ・青皮・別甲などと配合する。熱病による意識障害には牛黄・黄連などと配合する(牛黄清心丸)。またや切り傷には粉末を水に溶いて外用薬として用いる(中黄膏)。

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