漢方生薬辞典

約780種の生薬を五十音順に紹介。日本の漢方薬や伝統薬に配合されている和漢生薬、民間薬、ハーブなども紹介。

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芥子

○芥子(がいし)

 アブラナ科の越年草カラシナ(Brassica juncea)の種子を芥子という。原産地の定説はないが、中央アジアからはじまり、地中海や中国で交雑されたと考えられている。カラシ(マスタード)の基減植物はいずれもアブラナ科であるが、種子の色からカラシナ、シロガラシ(B.alba)、クロガラシ(B.nigra)に区別され、香辛料ではカラシナを「和がらし」、シロガラシやクロガラシを「洋がらし」に用いる。カラシナはアブラナ(B.campestris)とクロガラシが自然交雑した雑種と考えられ、種子の色は黄褐色であるブラウン・マスタードとも呼ばれている。

 漢方生薬にはシロガラシの種子も白芥子と称して用いる。薬用として一般に日本では芥子、中国医学では白芥子が用いられる。芥子及び黒芥子の主な辛味成分はシニグリンであるが、白芥子の辛味成分はシナルビンであり、芥子と白芥子は区別する必要がある。

 辛味配糖体のシニグリンは粉にして水で練り合わせると、酵素のミロシンの作用により加水分解されて強い辛味と刺激性をもつアリルイソチオシアネートを生じる。揮発性があるため鼻にも刺激がある。皮膚につけると熱感があり、発赤し、ひどければ水疱を生じる。アリルイソチオシアネートはアリル芥子油ともいい、醤油などの防カビ剤としても用いられる。一般に芥子の粉は脱脂して用いる。

 漢方では芥子の性味は辛熱で、おもに辛辣性健胃薬や去痰薬として用いる。日本では芥子と水を混ぜて練ったものを芥子泥といい、刺激性の鎮痛薬、去痰薬として用いる。たとえばリウマチや神経痛には局所に塗り、肺炎や気管支炎には胸や背部に貼付する。

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