漢方生薬辞典

約780種の生薬を五十音順に紹介。日本の漢方薬や伝統薬に配合されている和漢生薬、民間薬、ハーブなども紹介。

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蛤蚧

蛤蚧(ごうかい)

 中国南部の広西省やベトナム、タイなどに生息する爬虫類のヤモリ科オオヤモリ(Gekko gecko)を用いる。体長は20cm余りもある大きなヤモリで、山間の岩場や樹木の穴、壁の上などに生息し、夜行性でおもに昆虫などを捕食している。オオヤモリを蛤蚧というが、雄を蛤、雌を蚧という謂れがある。

 薬材としてはオオヤモリの内臓を除き、四肢を開いた後あぶって乾燥し、二匹を対にして竹に固定したものが市場に出ている。尾の部分の薬効が優れているとされ、尾の欠けたものは劣品とされる。通常、用いるときには頭と足や鱗片を除く、あるいは尾だけを用いる。

 漢方では補気・補陽・止咳の効能があり、虚労や喘息、肺結核インポテンツ、頻尿、糖尿病などに用いる。滋養・強壮薬として参茸丸至宝三鞭丸に蛤蚧が配合されている。また、とくに血痰のみられる肺結核の常用薬として知られ、人参・杏仁・貝母などと配合する(人参蛤蚧散)。薬酒として有名な蛤蚧酒は、新鮮な蛤蚧の内臓を除き、雄雌あわせて丸ごと蒸留酒に浸してつくったものである。