漢方生薬辞典

約780種の生薬を五十音順に紹介。日本の漢方薬や伝統薬に配合されている和漢生薬、民間薬、ハーブなども紹介。

スポンサーリンク

黒大豆

黒大豆

 中国原産で世界各地で栽培されているマメ科一年草ダイズ(Glycine max)栽培品種であるクロマメの種子を用いる。普通、ダイズといえば黄大豆のことであるが、薬用には黒大豆が珍重されている。またクロマメの黒い種皮は黒大豆皮あるいは黒豆衣、モヤシのように発芽させたものは大豆黄巻、納豆にして乾燥させたものは豆豉と呼ばれ薬用にされる。

 ダイズは中国では約5000年前から栽培され、日本でも紀元前2000年ごろより食用にされていたと推定されている。現在、世界一の主産地はアメリカであるが、黒船で来日したペリーが日本からアメリカに持ち帰ったのがはじまりといわれている。

 日本でマメといえば大豆のことを指すように、日本の食生活に欠かせないものである。大豆を原料とした豆腐納豆、きな粉、湯葉、味噌、醤油などの伝統食品のほか、ダイズ油としても利用価値が高い。しかし、現在、国内生産量は5%程度で、そのほとんどはアメリカから輸入している。

 ダイズの種子にはタンパク質、脂質、糖質、食物繊維、ビタミン、カルシウム、ファイトケミカルなどが豊富に含まれ、健康食品などの素材として利用されている。大豆タンパク質やリン脂質結合大豆ペプチドは血中コレステロール低下作用が認められ、特定保健用食品素材として利用されている。また大豆オリゴ糖は腸内細菌叢を改善し、便通を整える作用があり、大豆イソフラボンは女性ホルモン様作用のある植物エストロゲンのひとつで、更年期障害骨粗鬆症などへの効果が期待されている。また、黒大豆の種皮には抗酸化作用のあるポリフェノールの一種、アントシアニンプロアントシアニジンが含まれている。

 漢方では活血・利水・去風・解毒の効能があり、浮腫や脚気、筋肉の引きつり、化膿などに用いる。また烏頭や巴豆の中毒の解毒薬としても用いる。水銀療法の副作用による口内炎、歯肉炎、嚥下困難の治療に桔梗・紅花などと配合する(黒豆湯)。癰腫、湿疹、火傷などの皮膚疾患には濃く煮た大豆汁や大豆を削って粉末にしたものを外用する。なお、黒大豆皮には滋養(補血)作用があり、盗汗や眩暈、頭痛などに用いる。

広告を非表示にする