漢方生薬辞典

約780種の生薬を五十音順に紹介。日本の漢方薬や伝統薬に配合されている和漢生薬、民間薬、ハーブなども紹介。

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胡桃仁

胡桃仁(ことうにん)

 西アジア原産のクルミ科の落葉高木ペルシャグルミ(Juglansregia)の種仁を用いる。種仁とはクルミの種子の子葉、つまり固い殻の中の可食部である。この未成熟果実の外果皮は胡桃青皮といい、また殻の中の薄い隔壁を分心木といって薬用にする。現在、ペルシャグルミはアメリカやヨーロッパをはじめ、日本の長野県山形県など世界各地で広く栽培されている。この胡桃は漢の時代に張騫が西域から持ち帰ったといわれ、胡桃の名がある。

 日本には18世に朝鮮半島を経て、また明治初年にはアメリカから伝えられた。これとは別に日本全域からサハリンかけて同属植物のオニグルミ(J.mandshurica)やヒメグルミ(J.subcordiformis)が自生しており、これらの種仁も胡桃仁として用いる。

 胡桃仁は脂肪油を40~50%含み、その主成分はリノール酸のグリセリドである。またタンパク質や炭水化物、カルシウム、鉄、カロテンなども含み、栄養価に富む。漢方では止咳・潤腸・補陽の効能があり、高齢者や虚弱体質者の滋養薬として、また老人の喘息や咳嗽、腰痛、下肢倦怠、便秘などに用いる。

 高齢者など肺腎両虚の喘息や咳嗽には人参・生姜と配合する(人参胡桃湯)。腸燥便秘には単独あるいは麻子仁・当帰などと配合する。腎陽虚による足腰の衰えには杜仲・補骨脂などと配合する。腎結石による腰痛にも用いる。

 一般に滋養薬として用いるときには皮を除くが、喘息には薄皮をつけたまま用いる。なお分心木は収斂薬として遣精・帯下・頻尿などに、胡桃青皮は腹痛や下痢などに用いる。民間療法では未熟な果肉をすりおろして、水虫や湿疹に外用する。アメリカでは古くから先住民がクログルミ(ブラックウォルナット:J.nigra)の樹皮を殺菌・駆虫薬として、また整腸剤や皮膚病の治療薬として利用している。

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