漢方生薬辞典

約780種の生薬を五十音順に紹介。日本の漢方薬や伝統薬に配合されている和漢生薬、民間薬、ハーブなども紹介。

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胡麻

○胡麻

 アフリカ大陸が原産と推定され、世界各地で栽培されているゴマ科の一年草ゴマ(Sesamum indicum)の成熟種子、つまり食用にされるゴマの乾燥したものを用いる。紀元前1世紀に張騫によって西域(胡)から中国に伝えられたといわれ、現在では中国が世界一の産国である。

 一般に中国では胡麻といわず、芝麻あるいは脂麻という。日本でも奈良時代には栽培され、食用や薬用、灯火用にも使用された。ゴマは種子の色によって黒ゴマ、白ゴマ、黄ゴマなどがあるが、薬用には黒ゴマが用いられる。

 種子は脂肪とタンパク質が豊富で、含油率は40~55%もあり、炒って砕いた後に蒸して圧搾すれば風味のよいゴマ油が得られる。種子には脂肪酸としてオレイン酸リノール酸が多く含まれるほか、カルシウム、鉄分、γ-トコフェロールセサミン、セサモリン、セサモール、セサミノールなどのリグナン化合物などが含まれている。

 ゴマリグナンの大半を占めるセサミンには抗酸化作用、アルコール分解促進作用、血中コレステロール低下作用などが認められている。ゴマ油が植物油に比較して酸化変敗しにくいのは、強力な抗酸化作用があるセサミノール、セサモールなどによることが知られている。またゴマペプチドには降圧作用があり、特定保健用食品の成分として認められている。ただ、生ゴマの種皮は硬くて消化されないため、砕いて用いる。

 漢方では補陰・潤腸・補肝腎の効能があり、虚弱体質や高齢者、病後、腸燥便秘などに用いる。老人性皮膚掻痒症などには当帰・地黄などと配合する(消風散)。高齢者のめまい、視力の低下には何首烏・杜仲などと配合する(首烏延寿丹)。また胡麻油は紫雲膏中黄膏などの軟膏基剤として用いられている。

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