漢方生薬辞典

約780種の生薬を五十音順に紹介。日本の漢方薬や伝統薬に配合されている和漢生薬、民間薬、ハーブなども紹介。

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紫河車

○紫河車(しかしゃ)

 ヒトの胎盤を乾燥したものを用いる。人胞・胞衣・胎衣・混沌衣・佛袈裟・混元衣などの別名もある。また新生児の臍帯も利用されることがあり、生薬名を坎気という。紫河車は健康な産婦の分娩時に排出された胎盤の血管を切り、何度も水で洗い、煮たり、蒸したりした後に乾燥したものである。

 薬材は直径10~15cmくらいの皿状で、一面は全体が凹凸があり、もう一面は半膜に覆われて平滑で、中央に臍帯の残りがある。かつて胎盤埋没療法が旧ソ連で研究され、リウマチやアレルギー疾患などに効果があると注目された。日本では医療用としてヒトプラセンタに由来する胎盤製剤(メリスロン注、プラセンタ注)が更年期障害や乳汁不足、肝機能障害の治療に用いられている。

 胎盤には糖質、脂質、タンパク質、ビタミン、ミネラル、核酸物質、ムコ多糖体、ヒアルロン酸酵素類などが含まれ、そのほか、さまざまな活性ペプチド、細胞増殖因子(グロースファクター)、サイトカイン、ホルモン成分などが含まれている。ただし、製造中に数回の高圧蒸気滅菌などの工程があり、ホルモンなどは分解されていると説明されている。

 健康食品や化粧品に用いられているプラセンタエキスは、牛や豚などの胎盤から抽出したものであり、BSEの影響で、専ら豚プラセンタが利用されている。自律神経・内分泌調整、免疫賦活、基礎代謝向上、細胞の増殖再生、抗炎症・抗アレルギー、抗酸化、美白・保湿作用などが報告されている。

 漢方では補気・補血・補養の効能があり、不妊症、習慣性流産、インポテンツ、虚弱体質、結核、喘息、神経衰弱などに用いる。一般に滋養強壮薬として長期間服用すると効果がみられる。肺結核や慢性気管支炎、慢性腎炎など慢性の消耗性疾患には杜仲・亀板などと配合する(河車大造丸)。また坎気には補陽・止汗の効能があり、腎虚による喘息や盗汗に用いる。

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