漢方生薬辞典

約780種の生薬を五十音順に紹介。日本の漢方薬や伝統薬に配合されている和漢生薬、民間薬、ハーブなども紹介。

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朱砂

○朱砂(しゅしゃ)

 天然の硫化水銀、辰砂(Cinnabar)の鉱石を用いる。湖南省の辰州に良品を産することから辰砂といい、色が赤いことから朱砂、丹砂など呼ばれる。品質の最もよいものを光明砂という。

 中国では湖南・四川・貴州省などで産出する。大きさや形はまちまちで塊状、薄片状、顆粒状があり、暗紅色ないし鮮紅色で光沢があり、重く、無味無臭である。上等の印肉の朱は朱砂が使われている。

 朱砂の主成分は硫化水銀(HgS)であり、天然品は少量の土や有機物を來雑する。朱砂を過熱し、遊離した水銀の蒸気を冷却すると水銀が得られる(HgS+O2→Hg+SO2)。また逆に水銀と硫黄を用いた合成朱砂もあり、これを霊砂といい、重慶昆明などで作られている。天然品は非常に高価なので、合成品も使用されている。

 硫化水銀は水に不溶性のためほとんど毒性がないとされるが、そうすると薬理的に作用しないことになる。漢方では重鎮安神薬のひとつで、安伸・定驚の効能があり、痙攣発作や熱性痙攣、めまい、不安、不眠、動機などの精神状態に用いる。一般に丸剤、散剤で用いるが、湯剤としては使用しない。

 不眠や神経症などで不眠、動悸、多夢、煩躁、口渇などの症状のみられるときには黄連・生地黄などと配合する(朱砂安伸丸)。大便が乾燥して秘結するときには芦薈と配合する(更衣丸)。梅毒による皮膚症状や筋肉痛などに亀板・石決明と配合する(紫金丹)。口内炎や歯肉炎、咽頭頭炎などに竜脳・硼砂などと配合した口中に含む(氷硼散)。化膿した傷口には炉甘石・滑石などと配合して外用する(生肌散)。ただし水銀中毒に注意し、長期、多量の服用は避けたほうがよい。

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