漢方生薬辞典

約780種の生薬を五十音順に紹介。日本の漢方薬や伝統薬に配合されている和漢生薬、民間薬、ハーブなども紹介。

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樟脳

○樟脳(しょうのう)

 関東地方以南、四国、九州、台湾、中国南部に分布するクスノキ科の常緑高木クスノキ(Cinnamomum camphora)の根、幹、枝、葉を蒸留精製した顆粒状結晶を樟脳という。

 クスノキは枝や葉をはじめ樹木全体に独特の香りがある。樟脳は特有の芳香を持った極めて消化しやすい白色の結晶でカンフルともいい、水には難溶であるが、エーテルなどの有機溶剤に溶ける。

 樟脳は紀元600年ごろアラビアで貴重な薬として用いられ、アラビア語カフールがカンフルの語源である。日本には江戸時代に製法が伝わり、薩摩や土佐でつくられ、明治時代には日本の特産品として盛んに輸出された。

 精油成分にはカンファ、カンフェン、カジネン、アセトアルデヒド、ピネン、シネオール、ボルネオール、オイゲノールなどが含まれ、カンファは局所刺激作用、防腐作用のほか、中枢性に血管や呼吸を興奮させ、血圧を上昇して呼吸数を増加させる。また生体内での酸化物であるアロパラオクソカンファは直接的な強心作用がある。

 樟脳は防虫剤や薫香料のほか、セルロイドやフィルム、ボルネオールなどの原料として用いられている。またパイオキソカンファは強心作用のある注射薬(ビタカンファー)として用いられる。

 漢方では開竅・止痛・殺虫の効能があり、意識障害、腹痛、腹部膨満、脚気、歯痛、皮膚病、打撲傷などに用いる。現在ではおもに軟膏やチンキなどの外用薬として神経痛、しもやけ、火傷、打撲傷、皮膚病などに用いる。

 筋肉痛や打ち身、捻挫にはカンフルにハッカ油、チョウジ油などと配合する(タイガーバーム)。チンキ剤を腹部につけると腹部膨満感や腹痛が軽減する。また内服では湿疹や有熱時の意識障害の気付け薬として用いる。ただし服用しすぎると眩暈、頭痛、興奮症状が出現し、さらには痙攣や呼吸衰弱を起こし死に至ることもある。

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