漢方生薬辞典

約780種の生薬を五十音順に紹介。日本の漢方薬や伝統薬に配合されている和漢生薬、民間薬、ハーブなども紹介。

スポンサーリンク

タイム

○タイム

 地中海沿岸地方の原産で日本には明治時代に渡来したシソ科の常緑小高木タチジャコウソウ(Thymus vulgaris)の開花期の全草を用いる。初夏に薄紫色の小さな花を咲かせ、独特の芳香がある。この香りから麝香草の名がある。

 タイムとは「力」を意味し、この香りをかぐと力が湧くといわれる。古くからタイムは勇気のシンボルとされ、ローマ時代にはタイムを浸した水を兵士たちが浴びたといわれる。タイムは独特の香りと苦味のある香辛料としても知られ、クラムチャウダーやソーセージ、魚のソースなどに用いられる。この芳香は石鹸などの香料としても知られている。

 成分にはチモール、カルバクロール、シメンなどからなる精油が含まれ、水蒸気蒸留すればチアミン油(タイム油)が得られる。チモールには抗菌・抗真菌作用、駆虫作用、チモールやカルバクロールなどには去痰作用がある。このチモールは局所殺菌剤や軟膏剤として用いられるほか、うがい薬、洗浄薬、歯みがき剤に添加されたり、家畜の駆虫薬としても利用されている。

 タイムのハーブティーには発汗作用や去痰作用、消化器系の鎮静作用も認められている。このためヨーロッパでは鎮咳薬、感冒薬として感冒、気管支炎、咽頭炎、百日咳などに用いられている。また、うがい薬や口内洗浄薬として咽頭炎や歯肉炎に効果があり、入浴剤として利用すればリウマチの痛みを和らげる。

 タイム油は皮膚および粘膜の刺激剤として用いられる。日本には同属植物のイブキジャコウソウ(T.quinquecostatus)が自生し、百里香とも呼ばれている。

広告を非表示にする