白石脂
○白石脂
中国各地に産する白色のケイ酸塩類の粘土状鉱物を用いる。光陵土(高嶺土:カオリン(Kaolinite))あるいは白陶土といわれ、磁器の原料でもある。神農本草経には五色石脂として青石脂、赤石脂、黄石脂、白色脂、黒石脂が記されているが、もっぱら赤石脂と白石脂のみが利用されてきた。
石脂とあるように脂のような滑らかな光沢があり、嘗めると舌に吸着する。白石脂の主成分は赤石脂と同じケイ酸アルミニウム水化物で、そのほか鉄、マグネシウム、カルシウムなどを含む。アルミニウム類薬物はほとんど吸収されないが、収斂・吸着作用があり、下痢や出血、皮膚潰瘍などに効果がある。
漢方では止瀉・止血の効能があり、慢性の下痢や血便、遺精、子宮出血などに用いる。金匱要略では熱性痙攣やひきつけ、麻痺などの処方として赤石脂・竜骨・牡蠣などと配合した風引湯が収載されている。