漢方生薬辞典

約780種の生薬を五十音順に紹介。日本の漢方薬や伝統薬に配合されている和漢生薬、民間薬、ハーブなども紹介。

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八月札

○八月札(はちがつさつ)

 日本の各地、朝鮮半島、中国に分布するアケビ科の落葉つる性本木アケビ(Akebi quinata)の成熟果実を用いる。そのほかミツバアケビ(A.trifoliata)や白木通(A.trifoliate var.australis)などの果実も用いる。日本では裂開する前の果実を木通子という。つる性の茎は木通として知られている。

 果実は夏に成熟し、熟すと実が開くことからアケビの名があり、中国では果実を八月札、八月扎、八月紮、八月炸などという。また果実を預知子という。果実の中には半透明なゼリー状の果肉が種子を包んでいるが、この果肉は甘くて生食できる。また実がはじけていない果皮をアク抜きして料理に用いる。種子を圧搾した脂肪油を食用油として用いることもある。

 種子は脂肪油を約18%含み、数種のトリテルペノイドのサポニンを含有している。漢方では疏肝・理気・止痛の効能があり、胸脇部の痛みや胃痛、下腹部痛、月経痛、腰痛などに用いる。近年、中国では尿路結石や肝癌、拝顔、乳癌などへの治療効果が研究されている。日本の民間療法では木通子を荘園・解毒・利尿薬として淋病や膀胱炎、浮腫などに用いる。