漢方生薬辞典

約780種の生薬を五十音順に紹介。日本の漢方薬や伝統薬に配合されている和漢生薬、民間薬、ハーブなども紹介。

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半夏

○半夏(はんげ)

 日本各地、朝鮮半島、中国などに分布するサトイモ科の多年草カラスビャクシ(Pinellia ternata)の球茎を用いる。半夏の名は夏の半ばに花が咲く(そのころに採取する)ことに由来し、カラスビャクシの名は仏炎の形をビャクシに例えたものである。農家の主婦の小遣い稼ぎになることからヘソクリという俗名もある。もっとも塊茎から葉柄をとった中央の窪みがヘソのようであるという説もある。

 採取した球茎を水洗いしてから塩水に入れ、上皮を除去した後、塩抜きして乾燥する。生で用いると弱い毒性や刺激性があるため、中国では一般に修治した製半夏を用いる。通常、10日間ほど冷水に浸し、その後、明礬で煮て処理したものを清半夏、明礬や甘草、石灰で処理したものを法半夏、明礬と生姜で煮て処理したものを姜半夏という。生の半夏を用いるときには生姜と配合して煎じる。

 半夏を口に含むとえぐみが強く、チクチクと口腔粘膜を刺激するが、これはシュウ酸カルシウムの針晶あるいはジグリコシリックベンズアルデヒドが原因ではないかといわれている。

 半夏の成分にはホモゲンチジン酸、ジヒドロキシベンズアルデヒドエフェドリン、コリンなどが含まれ、鎮吐、鎮咳、唾液分泌亢進、腸管内輸送促進などの薬理作用が報告されている。漢方では理気・止嘔・去痰の効能があり、悪心、嘔吐、消化不良、咳嗽、喀痰、不眠などに用いる。

 半夏の性質は温で燥湿の作用もあるため胃内停水などの痰飲や嘔吐の常用薬である。なお半夏の毒性による口腔内のしびれ感や灼熱感、嗄声などには生姜を用いるとよい。

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