漢方生薬辞典

約780種の生薬を五十音順に紹介。日本の漢方薬や伝統薬に配合されている和漢生薬、民間薬、ハーブなども紹介。

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蕪荑

○蕪荑(ぶい)

 中国東北部朝鮮半島、シベリア半島に分布するニレ科の落葉小高木チョウセンニレ(Ulmus macrocarpa)の果実を加工したものを用いる。

 果実は偏平で種子の周囲に広い翼がある。これを採取して日干しにし、揉んで翼を除き、種子を取り出し、水に浸して発酵させる。これに楡白皮の粉末や紅土、菊花を加えて温湯に混合して糊状になったものを平板の上で伸展し、6cm四方に切って乾燥したものが蕪荑である。

 表面は黄褐色の軽くて脆いもので、特有の匂いと酸味がある。やもに山西・河北省で生産されている。成分は不詳であるが、駆虫作用や抗真菌作用がある。神農本草経の中品に収載され「三虫を去り、食を化す」とある。

 漢方では駆虫・消積の効能があり、とくに小児の疳積と回虫による腹痛に用いる。一般に搗いて粉末にしたものや、炒ったものを散薬として服用する。また回虫症に使君子・雷丸などと配合する(化虫丸)。