漢方生薬辞典

約780種の生薬を五十音順に紹介。日本の漢方薬や伝統薬に配合されている和漢生薬、民間薬、ハーブなども紹介。

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浮萍

○浮萍(ふひょう)

 日本の各地をはじめ世界中の温帯、熱帯に広く分布し、沼や池、水田などの水面に浮かず水草、ウキクサ科のウキクサ(Spirodela polyrrhiza)やコウキクサ(Lemma minor)の全草を用いる。

 成分には酢酸カリウムや塩化カリウムヨウ素臭素などが含まれ、強心作用や解熱作用が知られている。漢方では解表・透疹・利水消腫・止痒の効能がある。

 「発汗は麻黄に勝り、行水は通草より捿い」とさえも言われている。たたし麻黄の性が辛温で風寒表証に用いるのに対し、浮萍の性は辛寒であるため風熱表証に適している。また麻疹や風疹、蕁麻疹などに用いる。

 皮膚の掻痒症には当帰・荊芥などと配合する(浮萍湯)。また浮萍の利尿作用は肺気を通利して水分を膀胱へ送ると説明され、急性腎炎や発熱時の浮腫には蘇葉・桑白皮などと配合する(疏風利水湯)。