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漢方生薬辞典

約780種の生薬を五十音順に紹介。日本の漢方薬や伝統薬に配合されている和漢生薬、民間薬、ハーブなども紹介。

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馬銭子

○馬銭子(まちんし)

 インド、東南アジアからオーストラリア北部に分布するマチン科の常緑高木マチン(Strychnosnux-vomica)の種子を用いる。種子は直径2cmくらいの扁平な円盤状で中央がくぼみ、その中心に突起がある。

 マチン科の植物は世界各地の熱帯地方で広く矢毒などの毒や薬用として利用されていた。マレー半島からボルネオ、フィリピンにかけて原住民が用いていた吹き矢の矢毒はマチンなどから得られたもので、イポー毒と呼ばれ非常に恐れられていた。

 種子にはアルカロイドのストリキニーネとプルシンを含み、とくにストリキニーネは猛毒であり、種子1個分でほぼ致死毒となる。これらのアルカロイドは中枢神経を興奮させ、全身筋肉の強直性の痙攣を起こして死にいたらせる。少量を用いると胃腸機能を促進する作用がある。インドではこの種子や樹皮を熱病や消化不良に用いていた。

 15~16世紀にヨーロッパにホミカと称して紹介され、動物の殺害薬として用いられ、日本でも江戸時代にはネズミの駆除に利用されていた。一方、19世のアメリカでは微量のストリキニーネを処方した大衆強壮薬が出回ったこともある。

 漢方では止痛・消腫の効能があり、リウマチによる関節痛や麻痺、重症筋無力症、外傷や腫れ物の痛みに用いる。近年、中国では食道癌や胃癌、皮膚癌にも試みられている。

 日本ではホミカエキスやホミカチンキとして苦味健胃薬に配合されている。またストリキニーネは専ら研究用の試薬に用いられ、ほとんど治療には応用されない。ストリキニーネは興奮薬としてドーピングの規制対象となっているので、市販薬でもホミカが配合されていれば問題となる。
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