漢方生薬辞典

約780種の生薬を五十音順に紹介。日本の漢方薬や伝統薬に配合されている和漢生薬、民間薬、ハーブなども紹介。

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○水(みず)

 通常、生薬を煎じるときには水を用いる。現在、煎剤用には精製水、蒸留水、水道水などが用いられているが、かつてはさまざまな天然水を用いた。

 天然水は硬水と軟水とに区別され、カルシウムイオンやマグネシウムイオンなどのイオンを比較的多く含むものを硬水、少ないものを軟水という。天然水のうち地下水は硬水に、地表水は軟水に近い。

 傷寒論金匱要略の中にはいくつかの水が記載され、かつては処方に応じて水を区別していたことが伺える。井泉水は井戸から汲み上げられる地下水、井花水とは朝一番早く汲んだ井戸水のことである(風引湯)。地漿または土漿は土と水を大きな器に入れてかき混ぜた後に沈殿させた上澄みのことである。

 泉水とは湧き水、谷水のことである(百合滑石代赭湯)。甘燗水または労水とは容器に入れた水をひしゃくで何度も汲んだり、注いだりして泡立てた水のことである(苓桂甘棗湯)。

 流水とは河川を流れる水、東流水とは東に流れる川の水のことである(沢漆湯)。雨水とは雨を溜めた水、潦水とは雨の後に地面にたまった水のことである(麻黄連軺赤小豆湯)。泔水は硬米泔ともいい、米のとぎ汁(シロミズ)のことで、このとぎ水を少し酸敗させたハヤズを漿水という(赤小豆当帰散)。また水に酢や酒、童便などを混ぜて用いることもある。
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