漢方生薬辞典

約780種の生薬を五十音順に紹介。日本の漢方薬や伝統薬に配合されている和漢生薬、民間薬、ハーブなども紹介。

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密蒙花

○密蒙花(みつもうか)

 中国の中部や西南部に分布するフジウツギ科の落葉低木ワタフジウツギ(Buddle jaofficinalis)の花または蕾を乾燥したものを用いる。

 同属植物のフジウツギ(B.japonica)は別名「毒流し草」、トウフジウツギ(B.lindleyana)の中国名は「酔魚草」とあるように、これらの葉をすりつぶして池に入れると魚は浮き上がって死ぬ。ただし、この魚を人間が食べると腹痛や麻痺が起こるので魚漁には適しない。

 ワタフジウツギにはこのような作用はない。なお湖北・四川・広西省などではジンチョウゲ課のミツマタ(Edgeworthiachrysantha)の蕾を密蒙花としている。ワタフジウツギの花穂にはビタミンP作用のあるアカセチンやアカイシンなどのフラボノイドが含まれる。

 漢方では明目の効能があり、結膜炎や流涙症、角膜混濁、視力低下など眼科疾患に対する常用薬である。急性、慢性の結膜炎や羞明、角膜混濁などには枸杞子・石決明・菊花などと配合する(密蒙花散)。視力低下には枸杞子・菟絲子・桑椹などと配合する。