漢方生薬辞典

約780種の生薬を五十音順に紹介。日本の漢方薬や伝統薬に配合されている和漢生薬、民間薬、ハーブなども紹介。

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2012-10-01から1ヶ月間の記事一覧

紅娘子

○紅娘子(こうじょうし) 中国南部、インド、マレーシアなどに分布するセミ科のハグロゼミ(Huechys sanguinea)の乾燥した全虫を用いる。紅娘子は神農本草経に収載されている樗鶏としばしば混同されているが、現在では樗鶏は全く別の昆虫で、ハゴロモ科のシ…

香薷

○香薷(こうじゅ) 日本をはじめアジアの温帯に広く分布するシソ科の一年草ナギナタコウジュ(Elsholtzia ciliata)の開花期の全草を用いる。 中国では中国、朝鮮半島、ウスリー地方に分布する同属植物の海州香(E.splendens)を用いる。日本産や韓国産はお…

唅士蟆

○唅士蟆(ごうしま) 中国の寒い地方に生息するアカガエル科の中国林蛙(Rana chensinensis)、黒竜江林蛙(R.amurensis)の内臓を除いたものを乾燥して用いる。雌の輪卵管を乾燥したものを唅蟆油という。ちなみに唅蟆油は古代中国の八大珍味の一つとされて…

光慈姑

○光慈姑(こうじこ) 本州の福島県以南、四国、九州、朝鮮半島、中国大陸に分布するユリ科の多年草アマナ(Amana edulis)の鱗茎を用いる。チューリップと近縁の野生種であり、鱗茎は古くから食用にされ、食べると甘いためアマナ(甘菜)の名がある。 生薬名…

紅景天

○紅景天(こうけいてん) 中国のチベット自治区、四川、青梅、甘肅、雲南省やロシアのシベリアの海抜2000~5000mの高地に分布するベンケイソウ科の多年生植物、紅景天(Rhodiola sacra)などの全草を用いる。 ロディオラ属はヨーロッパには200種…

高貴薬

○高貴薬(こうきやく) 高貴薬とは非常に高価であり、容易に手に入りにくい薬物のことである。今日、ワシントン条約で規制されている野生動物からの生薬も多く、今後は代用品の開発を検討することも必要であろう。またこれらの生薬には贋偽品がしばしば出回…

合歓皮

○合歓皮(ごうかんひ) 日本各地、中国、東南アジアなどに広く分布するマメ科の落葉高木ネムノキ(Albizzia julibrissin)の樹皮を用いる。花や花蕾は合歓花、合歓米という。 かつて日本ではニシキギ科のマユミの樹皮が代用されたこともある。暗くなると眠る…

蛤蚧

○蛤蚧(ごうかい) 中国南部の広西省やベトナム、タイなどに生息する爬虫類のヤモリ科オオヤモリ(Gekko gecko)を用いる。体長は20cm余りもある大きなヤモリで、山間の岩場や樹木の穴、壁の上などに生息し、夜行性でおもに昆虫などを捕食している。オオ…

紅花

○紅花(こうか) エジプト原産のキク科の二年草ベニバナ(Carthamus tinctorius)の管状花の乾燥したものを用いる。薬用としては開花初期の黄色の多いときの花を、そのまま風乾したものを用いる。 古くから南ヨーロッパ、中近東、インド、中国などで栽培され…

香櫞

○香櫞(こうえん) インド原産のミカン科の常緑低木シトロン、すなわちマルブッシュカン(Citrus medica)の成熟果実を用いる。シトロンは直径が10cm以上の大果で、熟すと橙黄色になり、よい香りがする。 中国ではシトロンを枸櫞というが、日本ではレモ…

膠飴

○膠飴(こうい) 粳米または糯米を蒸したのち、麦芽のアミラーゼを用いてデンプンを分解し、糖化させて製した飴である。膠飴には軟らかいものと固形のものとがあり、軟らかいものは黄褐色、半透明の濃厚な水飴状であり、固形のものはこの水飴を攪拌し、空気…

玄明粉

○玄明粉(げんめいふん) 芒硝を風化、乾燥させて得られる白色の粉末をいう。芒硝の主成分は含水硫酸ナトリウム(Na2SO4・10H2O)であるが、空気中で風化されると結晶水を失い無水硫酸ナトリウム(Na2So4)に変化する。これは玄明粉あるいは風化硝という。 …

拳柏

○拳柏(けんぱく) 日本各地および台湾、朝鮮半島、中国、インドなどに分布し、岩壁などに生えている常緑シダ植物イワヒバ科のイワヒバ(Selaginella tamariscina)の全草を用いる。岩場に生えて、針葉樹のヒバの葉に似ていることからイワヒバの名がある。 …

現之証拠

○現之証拠(げんのしょうこ) 日本各地、台湾、朝鮮半島、中国などに分布するフウロソウ科の多年草ゲンノショウコ(Geranium thunbergii)の全草を用いる。日本の代表的な民間薬であるが、中国では知られていない。 江戸時代初期から民間で用いられ、ゲンノ…

ゲンチアナ根

○ゲンチアナ根 ヨーロッパ原産でスペインからトルコまでの亜高山帯に分布しているリンドウ科の多年草ゲンチアナ(Gentoana lutea)の根および根茎を用いる。 植物学上、リンドウと同じ仲間であるが、ゲンチアナは高さ2mにも達する大型植物で、根も大きい。…

芫荽

○芫荽(げんすい) 地中海東部沿岸が原産とされるセリ科の一~二年草コエンドロ(Coriandrum sativum)の全草を用いる。現在では香料植物として東欧や東アジアなど世界各地で栽培されている。 和名のコエンドロはポルトガル語に由来し、中国では張騫が西域か…

芫青

○芫青(げんせい) 中国の各地に分布するツチハンミョウ科のアオハンミョウの一種である緑芫青(Lytta caraganae)の乾燥した全虫を用いる。 緑芫青は体長1~2cmくらいの細長い昆虫で、体は緑色あるいは藍緑色で光沢がある。かつて日本薬局方に収載され…

玄参

○玄参(げんじん) 中国の江蘇・安徽・浙江省などに分布するゴマノハグサ科の多年草ゲンジン(Scrophularia ningpoensis)の根を用いる。日本や中国北方地区では近縁植物のゴマノハグサ(S.buergeriana)の根を用いることもある。ゴマノハグサとは葉の形がゴ…

拳参

○拳参(けんじん) 日本各地をはじめ広く北半球に分布するタデ科の多年草イブキトラノオ(Polygonum bistorta)などの根茎を用いる。イブキトラノオの名は滋賀県の伊吹山に多く産し、花穂がトラの尾に似ていることによる。 中国ではこの生薬名を慣例的に草河…

芡実

○芡実(けんじつ) 日本各地、台湾、中国、インドなどに分布するスイレン科の一年草オニバス(Euryale ferox)の成熟した種子の仁を用いる。池や城の堀などで直径1m以上にもなる大きな葉を広げ、葉や葉柄に刺が密生してフキに似ているためミズブキとも呼ば…