漢方生薬辞典

約780種の生薬を五十音順に紹介。日本の漢方薬や伝統薬に配合されている和漢生薬、民間薬、ハーブなども紹介。

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2012-05-01から1ヶ月間の記事一覧

カミツレ

○カミツレ ヨーロッパ原産のキク科の一年草カミツレ(Matricaria chamomilla)の花もしくは全草を用いる。日本には江戸時代にオランダから伝えられ、現在、鳥取や岐阜、岡山などで栽培されている。 カミツレの花はノジギクに似て中央は黄色い管状花、周囲は…

カマラ

○カマラ 中国中南部、台湾、インド、フィリピン、オーストラリアなどに分布するトウダイグサ科の常緑高木クスノハガシワ(Mallotus phillippinesis)の果実の腺毛および束毛を用いる。球形の果実は紅色の束毛や腺毛で密に覆われているが、この腺毛などを果皮…

蝦蟆

○蝦蟆(かま) アカガエル科のヌマガエル(Rana limnocharis)をそのまま乾燥したものを用いる。日本ではヒキガエルのことをガマともいうが、中国ではヒキガエルを蟾蜍(せんじょ)という。ヌマガエルは中国南部、日本でも本州中部以南に生息する体調5cm…

瓜蒂

○瓜蒂(かてい) 西アフリカ熱帯地域を原産とするウリ科のつる性植物マクワウリ(Cucumis melo)の未熟果実のヘタを乾燥して用いる。マクワウリはアフリカ原産のメロン類が東アジアで分化したもので、インドを経て、紀元前に中国に伝わり、日本にも弥生時代…

茄蒂

○茄蒂(かてい) インドを原産とし、熱帯から温帯地方で広く栽培されているナス科のナス(Solanum melongena)の宿存萼(ヘタ)を用いる。一般に一年草として栽培されているが、熱帯では多年草である。ナスの名は茄子を日本読みして変化したもので、古くに日…

蛞蝓

○蛞蝓(かつゆ) 軟体動物に属する陸生貝類ナメクジ(蛞蝓)の全体を用いる。ナメクジとはナメクジ科のコウラナメクジ科の総称であり、ナメクジ科は貝殻を持たないが、コウラナメクジ科は背面に薄い皿状の殻片を持っている。中国ではおもにコウラナメクジ(L…

滑石

○滑石(かっせき) 生薬として市場には軟滑石と硬滑石の2種類の滑石がある。軟滑石は天然の含水ケイ酸アルミニウムからなる粘土鉱物、加水ハロサイトのことである。硬滑石は鉱物学上の滑石(タルク Talc)のことで、天然の含水ケイ酸マグネシウムである。 …

葛根

○葛根(かっこん) 日本各地、東アジアに広く分布するマメ科のつる性木本クズ(Pueraria lobata)の根を用いる。クズの花を葛花、クズの根からとれるデンプンを葛粉という。根に多く含まれるデンプンは食用としても葛湯や葛餅、葛切り、葛粉などの原料として…

藿香

○藿香(かっこう) フィリピン原産とされ、熱帯の地方、中国の広東・雲南省などで栽培されているシソ科の多年草パチョリ(パチュリー:Pogostemon cablin)の全草を用いる。また日本各地、東アジアに分布しているシソ科の多年草カワミドリ(Agastache rugosa…

葛花

○葛花(かっか) マメ科のつる性木本クズ(Pueraria lobata)の花を乾燥したものを用いる。クズの根は葛根である。クズは日当たりのよい土手や山野に生え、夏から初秋のころに香りのある紫紅色の花を咲かせる。秋の七草のひとつであり、茶花としても喜ばれる…

カスカラサグラダ

○カスカラサグラダ 北アメリカ西部、ワシントン州やカリフォルニア州を原産とするクロウメモドキ科の落葉低木カスカラサグラダ(Thamnus purshiana)の樹皮を用いる。現在では北アメリカ各地で栽培もされている。アメリカに移住したスペイン系メキシコ人修道…

花蕊石

○花蕊石(かずいせき) 変成岩類の岩石、比較的普通に見られる大理石の一種である蛇灰岩の塊を用いる。おもに方解石の顆粒からなり、蛇紋岩を含むものである。不規則な灰白色の塊状で、淡黄あるいは緑黄色の暈が交互にある。 成分はカルシウムとマグネシウム…

花椒

○花椒 中国の各地に自生し、栽培されているミカン科の落葉低木カホクザンショウ(Zanthoxylum bungeanum)の果皮を用いる。果実の中の種子は椒目という。日本のサンショウと同属植物であるが、カホクザンショウの果実はサンショウの果実よりも粒が大きくて果…

莪朮

○莪朮(がじゅつ) マレーシア、インド、ヒマラヤを原産とするショウガ科のガジュツ(Curcuma zedoaria)の根茎を用いる。中国では広西・四川省を主産地とし、また同属の蓬莪朮、広西莪朮、温郁金などの根茎が用いられる。日本では屋久島、種子島、沖縄県な…

何首烏

○何首烏(かしゅう) 中国が原産であるが、江戸時代に日本に帰化して、日本各地に野生化しているタデ科の多年草ツルドクダミ(Poiygonum multiflorum)の塊茎を用いる。ツルドクダミの蔓茎は夜交藤あるいは首烏藤という。 何首烏は唐時代の中国では不老長寿…

詞子

○詞子(かし) インド・ビルマを原産とし、中国では雲南・広西・広東省、チベット自治区などで植栽されているシクンシ科の落葉高木ミロバラン(Terminalia chebula)の果実を用いる。新修本草や金匱要略には訶梨勒とあるが、現在では詞子と呼ばれている。ミ…

夏枯草

○夏枯草(かごそう) 日本各地を始め、東アジアの寒帯から温帯にかけて広く分布するシソ科の多年草ウツボグサ(Prunella vulgaris)の花穂のみ、あるいは開花期の全草を用いる。花穂が半分くらい枯れたころに採取する。日当たりのよい路傍などに見られ、初夏…

鶴虱

○鶴虱(かくしつ) 日本各地、朝鮮半島、中国、台湾などに分布するキク科の越年草ヤブタバコ(Carpesium abrotanoides)の果実を用いる。ヤブタバコの葉や茎は生薬名を天名精という。ヤブタバコはタバコの葉に似ていることからその名がある。果実は細長く、…

蝸牛

○蝸牛(かぎゅう) 軟体動物に属する陸生の巻き貝カタツムリの全体を用いる。学術上ではマイマイといい、別名をデンデンムシ、マイマイツブロという。マイマイとは「巻き巻き」、ツムリやツブロとはツブリ(巻き貝)のことである。 日本には600種類以上の…

柿葉

○柿葉 東アジア温帯に分布するカキノキ科のカキ(Diospyros kaki)の葉を用いる。カキは生薬として色々に利用され、柿のヘタは柿蒂、果実の干したものを柿餅、柿のしぶを柿漆という。 柿葉にはビタミンCが多く含まれるほか、フラボノイド配糖体のアストラガ…

鵝管石

○鵝管石(がかんせき) 暖かい浅瀬に生息する腔腸動物のレキサンゴ(Balanophyllia sp.)の石灰質骨格(珊瑚鵝管石)を用いる。しかし地方によって鉱物である鍾乳石の先端部分や管状の滴乳石を鵝管石(鍾乳鵝管石)として用いている。珊瑚は直径5mmくらい…