漢方生薬辞典

約780種の生薬を五十音順に紹介。日本の漢方薬や伝統薬に配合されている和漢生薬、民間薬、ハーブなども紹介。

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2012-07-01から1ヶ月間の記事一覧

金桜子

○金桜子(きんおうし) 中国南部、台湾原産といわれ、日本では本州、四国、和歌山などに野生化しているバラ科の常緑つる性低木ナニワイバラ(rose laevigata)の成熟果実を用いる。ナニワイバラの根は金桜根、葉は金桜葉、花は金桜花という。大阪の植木屋か…

豨蘞

○豨蘞(きれん) 日本の全土、朝鮮半島、中国大陸に分布するキク科の一年草メナモミ(Siegesbeckia pubescens)、および同属のツクシメナモミ、コメナモミなどの全草を用いる。日本の山野に普通に見られ、果実には粘液を分泌する腺毛を有し、衣服や動物にく…

キランソウ

○キランソウ 日本の本州、四国、九州、朝鮮半島、中国に分布するシソ科の多年草キランソウ(Ajuga decumbens)の全草を用いる。山野の道端の地面にへばりついて生え、初夏に紫色の小さな花をつける。 日本ではイシャダオシ(医師倒し)、中国でも筋骨草や金…

魚脳石

○魚脳石(ぎょのうせき) ニベ科の海水魚である。フウセイ(Pseudosciaena crocea)または小黄魚(P.polyactis)の頭骨中の耳石を用いる。フウセイの肉は石首魚という。おもに東シナ海の中国沿岸に生息し、回遊する性質がある。フウセイという名は朝鮮語に由…

玉竹

○玉竹(ぎょくちく) 日本、朝鮮半島、中国にかけて分布するユリ科の多年草アマドコロ(Polygonatum odoratum)、およびその近縁植物の根茎を用いる。別名を葳蕤といい、神農本草経には女萎とある。同属植物のナルコユリ(P.falcatum)もアマドコロとよく似…

杏仁

○杏仁(きょうにん) 中国北部原産で、古くから栽培されているバラ科の落葉高木アンズ(Prunus armeniaca)の種子(仁)で、硬い殻を割って取り出したものを用いる。 三国時代に呉の名医、薫奉は治療費の代わりに杏の木を植えさせ、数年で立派な杏の林ができ…

來竹桃

○來竹桃(きょうちくとう) インド原産で、日本には江戸時代に渡来したキョウチクトウ科の常緑低木キョウチクトウ(Nerium indicum)の葉や樹皮を用いる。日本の気候に適し、塩風や公害などの環境にも育つため、防塵、防音用としてよく植えられている。 葉や…

羗活

○羗活(きょうかつ) 中国で四川・陜西・雲南省などの高山に分布するセリ科の多年草キョウカツ(Notopteygium incisum)、および寛葉羗活(N.forbesii)の根と根茎を用いる。日本にはこのキョウカツと同じノトプテリギウム属の植物は産せず、日本産の羗活、…

姜黄

○姜黄(きょうおう) 東南アジア、中国南部に分布するショウガ科の多年草ウコン(Curcuma longa)あるいはキョウオウ(C.aromatica)の根茎を用いる。ウコンとキョウオウはよく似た植物であるが、ウコンの開花期が秋であるため秋ウコンと呼ばれ、キョウオウ…

九竜虫

○九竜虫(きゅうりゅうちゅう) 東南アジアから中国南部にかけて分布するゴミムシダマシ科のキュウリュウゴミムシダマシ(Marianus dermestoides)の全虫を用いる。成虫の体長でも6~8mmくらい、暗黒色で光沢のある小さな長楕円形の虫で寿命は約3ヶ月で…

急性子

○急性子(きゅうせいし) インドから東南アジアが原産であるツリフネソウ科の一年草ホウセンカ(Impatiens balsamina)の種子を用いる。ホウセンカの全草も鳳仙あるいは透骨草として生薬に用いられる。日本には室町時代に中国から伝えられ、漢名がそのまま和…

韮子

○韮子(きゅうし) 東アジア原産で、中国、東南アジア、日本などで栽培されているユリ科の多年草ニラ(Allium tuberosum)の種子を用いる。葉も韮白あるいは韮葉と称して薬用にする。 ニラは中国で栽培されていた最も古い野菜のひとつで、日本へも古い時代に…

九香虫

○九香虫(きゅうこうちゅう) 中国の揚子江以南の地域に分布するカメムシ科の昆虫ツマキクロカメムシ(Aspongopisu chinensis)の乾燥した全虫を用いる。主産地は雲南・四川・貴州・広西省などである。 体長2cm前後、幅1cmくらいの紫黒色のカメムシの…

牛角鰓

○牛角鰓(ぎゅうかくさい) 哺乳動物のウシ科のウシ(Bos taurus domesticus)の角を牛角、スイギュウ(Bubalus bubalis)の角を水牛角といい、その中の骨質角髄を牛角鰓という。近年、牛角鰓は犀角の代用として用いられる。 牛角鰓の作り方は、ウシの角から…

ギムネマ葉

○ギムネマ葉(ぎむねまよう) インド南部、東南アジア、中国の南西部に分布するガガイモ科の常緑つる性植物ギムネマ・シルベスタ(Gymnema sylvestre)の葉を用いる。中国ではこの植物の茎を武靴藤という。 ギムネマ葉はインド伝承医学アユルヴェーダの中で…

亀板

○亀板(きばん) 本州の中部以南、朝鮮、中国などに分布するイシガメ科のクサガメ(Chinemys reevesii)の甲板、主として腹甲を用いる。ちなみに別甲はスッポンの背の甲羅を主に用いる。 中国では揚子江流域で多く産する。クサガメは小川や沼などの淡水に生…

キナ皮

○キナ皮(きなひ) アンデス山中を原産とするアカネ科のアカキナノキ(Cinchona pubescens)などの枝や幹、根などの樹皮を用いる。ペルー住民は古くからキナノキの樹皮をマラリアなどの熱病に用いていた。これが17世紀にヨーロッパに伝えられたマラリアの…

橘皮

○橘皮(きっぴ) 中国ではミカン科のオオベニミカン(Citrus tangerina)やコベニミカン(C.erythrosa)などいくつかの柑橘類の成熟果実の果皮を橘皮という。日本ではウンシュウミカンの成熟果実の果皮を陳皮あるいは陳橘皮といい、とくに新鮮なものを橘皮と…

吉草根

○吉草根(きっそうこん) 北海道から九州、朝鮮半島、台湾に分布するオミナエシ科の多年草カノコソウ(Valeriana fauriei)の根および根茎を用いる。中国ではカノコソウなどの根茎がクモの足に似ているため蜘蛛香という。 根には精油が含まれ、甘松香に似た…

枳実

○枳実(きじつ) 日本ではミカン科のダイダイ(Citrus aurantium)やナツミカン(C.natsudaidai)などのミカン類の未成熟果実を枳実という。中国ではおもにカラタチ(Poncirus trifoliata)やダイダイなどの果実が用いられている。枳実よりも多く成熟直前の…

キササゲ

○キササゲ 中国原産で、古くから日本の温暖な地方で栽培されているノウゼンカズラ科の落葉高木キササゲ(Catalpa ovata)の果実を用いる。中国生薬では梓実というが、中国ではあまり用いず、専ら根皮や樹皮を梓白皮と称して利用している。日本の生薬でキササ…