漢方生薬辞典

約780種の生薬を五十音順に紹介。日本の漢方薬や伝統薬に配合されている和漢生薬、民間薬、ハーブなども紹介。

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2013-01-01から1ヶ月間の記事一覧

山薬

○山薬(さんやく) 本州以南、台湾、中国大陸に分布するヤマノイモ科のつる性多年草ヤマノイモ(Dioscorea japonica)または中国中南部原産のナガイモ(D.opposita)の根茎を用いる。 一般に野生のものはヤマノイモまたは自然生といい、中国から渡来した栽培…

山扁豆

○山扁豆(さんへんず) 沖縄県や世界の熱帯から亜熱帯にかけて分布するマメ科の一年草リュウキュウカワラケツメイ(Cassia mimosoides)の全草を山扁豆という。日本では日本各地に分布するマメ科のカワラケツメイ(C.nomame)の果実をつけた全草を山扁豆と称…

山菜

○山菜(さんな) インド、マレー半島原産で中国の南部に産するショウガ科の多年草バンウコン(Kaempferia galanga)の根茎を用いる。日本には江戸時代に渡来して、観賞用に栽培されている。日本のバンウコンは蕃欝金と書き、南蛮から渡来したウコン(欝金)…

山茶花

○山茶花(さんちゃか) 本州、四国、九州、沖縄県、朝鮮半島や中国に分布するツバキ科の常緑高木ツバキ(Camellia japonica)などの花を用いる。一般に蕾がふくらんで花が咲こうとする直前に採取する。 山茶花と書くと日本ではサザンかと読むが、中国語では…

酸棗仁

○酸棗仁(さんそうにん) 中国原産と推定されるクロウメモドキ科の落葉小高木、サネブトナツメ(Zizphus jujuba)の成熟種子を用いる。ナツメ(var.inermis)よりもすっぱいので酸棗といい、種子が大きいのでサネブトナツメという。 サネブトナツメはナツメ…

山豆根

○山豆根(さんずこん) 中国南部に分布するマメ科の低木広豆根(Sophora subprostrata)の根を用いる。日本ではかつてマメ科のミヤマトベラ(Euchresta japonica)の根を山豆根として用いていたが、これは誤りである。また中国北部の地方ではツヅラフジ科の…

山椒

○山椒(さんしょう) 日本の北海道から九州、朝鮮半島の南部に分布するミカン科の常緑低木サンショウ(Zanthoxylum piperitum)およびアサクラザンショウ(Z.piperitum f.inerme)の果皮を用いる。種子は淑目という。中国では同属植物の果皮を花椒として用い…

山茱萸

○山茱萸(さんしゅゆ) 中国や朝鮮半島に分布している落葉小木ミズキ科のサンシュユ(Cornus officinails)の果肉を用いる。この核には毒があるので、取り除いた果肉を用いる。 日本には江戸時代に朝鮮から伝えられ、観賞用として庭園などに植えられている。…

蚕沙

○蚕沙(さんしゃ) カイコガ科のカイコ(Bombyx mori)の幼虫の糞の乾燥したものを用いる。ときに秋蚕(晩蚕)の糞が重用されたため晩蚕沙という名もある。 2~3mmぐらいの青黒い顆粒状のもので、質は硬いが容易に溶け、砕くと青臭さがある。カイコの糞…

三七

○三七 雲南省から広西省にかけての限られた地域に産するウコギ科の多年草サンシチニンジン(Panax notoginseng)の根を用いる。呼称にはいくつかあり、三七人参、あるいは田三七、田七などと呼ばれている。また非常に高貴な生薬なので金不換という名もある。…

山梔子

○山梔子(さんしし) 日本、台湾、中国に分布するアカネ科の常緑低木コリンクチナシ(Gardenia jasminoides)の果実を用いる。果実が秋を過ぎても口を開けないことから口無しと呼ばれ、実の形が巵という底の丸い酒杯に似ているため梔子の名がある。 中国では…

山慈姑

○山慈姑(さんじこ) 日本の全国各地に広く分布するラン科の多年草サイハイラン(Cremastra appendiculata)などの鱗茎を用いる。茎の一方法に花をつけるためサイハイ(采配)の名がある。 この鱗茎は焼いたり、茹でて食用にされることもある。またユリ科の…

山蒜

○山蒜(さんさん) 日本各地、朝鮮半島、中国に分布するユリ科の多年草ノビル(Allium grayi)の全草を用いる。ノビルとは野のヒル(蒜)という意味で、ヒルとはネギやニンニクなど口の中に入れると辛味があるものの総称である。 日本で春の山菜として古くか…

山査子

○山査子(さんざし) 中国原産のバラ科の落葉低木サンザシ(Crataegus cuneata)、あるいは高木のミサンザシ(C.pinnatifida)の成熟果実を乾燥したものを用いる。日本には江戸時代に伝わり、多く植栽されている。 ミサンザシは大型の果実で、核を除いたもの…

山葵根

○山葵根(さんきこん) 北海道から九州に分布するアブラナ科の多年草ワサビ(Wasabia japonica)の根茎を用いる。山間の谷川に群生し、古くから長野や静岡県をはじめ日本各地の渓流で栽培されている。 ワサビの学名をワサビ・ヤポニカというように、日本特産…

鎖陽

○鎖陽(さよう) 中国の新疆ウイグル自治区、甘粛省、内モンゴル自治区の砂地に分布し、ほかの植物根に寄生するキノモノウム科の多年草サヨウ(Cynomorium songaricum)の肉質茎を用いる。 高さ20cm~1mくらいの暗紫赤色の円柱形で先は膨隆して丸みを…

サポニン

○サポニン サポニンは植物の配糖体のひとつで、溶けると泡をたてやすい溶液を作るような物質の総称である。サポニンとは石鹸という意味のラテン語、サーポニスに由来する。実際、世界各地でサポニンを含む植物を石鹸代わりに利用してきた。 一般にサポニンに…

サフラン

○サフラン ヨーロッパ南部、小アジア原産と考えられているアヤメ科の多年草サフラン(Crocus sativus)の雄しべの花柱を用いる。キク科のベニバナの花を紅花というのに対し、番紅花と呼ばれている。 日本に生薬として伝えられたのは江戸時代の半ばであり、球…

○酒 米、麦、黍、高梁などを原料にして酵母発酵によって作られたアルコール飲料を用いる。酒は古くから百薬の長といわれ、また「醫」の字の下が酒を意味する「酉」とあるように酒は医薬のひとつとして応用されてきた。 酒は製造方法により醸造酒と蒸留酒、混…

蚱もう

○蚱もう(さくもう) 中国全土や朝鮮半島、日本など稲作の行われているアジア全域に広く分布するバッタ科のイナゴ(Oxya chinensis)の乾燥した全虫を用いる。成虫を秋に捕獲するが、翅の生えていない若虫を特に蝗南という。 イナゴは水稲などの害虫であるが…

蒴藋

○蒴藋(さくちょう) 本州、九州、四国、沖縄、中国などに分布するスイカズラ科の多年草ソクズ(Sambucus chinensis)の全草を用いる。日本では蒴藋の蒴は「さく」あるいは「そく」、藋は「ちょう」「とく(どく)」「てき」「たく(だく)」「かく」などさ…

沙苑子

○沙苑子(さえんし) 中国の遼寧・吉林・河北・陜西省、内モンゴルなどに自生するマメ科の多年草ツルゲンゲ(Astragalus complanatus)の成熟種子を用いる。ただし、中国の各地方で基原植物が若干異なることもある。 沙苑子は別名を潼蒺藜とか沙苑蒺藜という…

細辛

○細辛(さいしん) 日本の本州、九州、朝鮮半島、中国に分布するウマノスズクサ科の多年草ウスバサイシン(Asarum sieboldii)の根及び根茎を用いる。中国産はこのほかケイリンサイシン(A.heterotropoides var.mandsuricum)などいくつかの種類を使用してい…