漢方生薬辞典

約780種の生薬を五十音順に紹介。日本の漢方薬や伝統薬に配合されている和漢生薬、民間薬、ハーブなども紹介。

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2013-11-01から1ヶ月間の記事一覧

淡竹葉

○淡竹葉(たんちくよう) イネ科ササクサ(Lophatherum gracile)の全草を淡竹葉という。日本ではイネ科のマダケ(Phynostachys bambusoides)やハチク(P.nigra)の葉を和淡竹葉ということもある。淡竹葉は竹葉としばしば混同され、中国ではハチクの葉は竹…

丹参

○丹参(たんじん) 中国各地に分布するシソ科の多年草タンジン(Salvia miltiorhiza)の根を用いる。名医別録には赤参とあり、赤参や丹参の名は根が赤いことに由来する。この色は根にフェニンスラキノン系の色素であるタンシノンⅠ(紫褐色)、タンシノンⅡ(…

淡菜

○淡菜(たんさい) 軟体動物のイガイ目イガイ科の二枚貝、イガイ(Mytilus coruscus)などの貝類の肉を用いる。イガイは北海道南部から九州、朝鮮半島、中国北部沿岸に分布し、水深20mまでの岩礁に群生する。 イガイはガラスガイ、ニタリガイなどの別名が…

タラ木

○タラ木(たらぼく) 日本全土、朝鮮半島、中国東北部に分布するウコギ科の落葉低木タラノキ(Aralia elata)の根皮や樹皮を用いる。日本市場ではタラ木、タラ木皮、タラ根皮などという。 ニホンではタラノキを漢字の楤木にあてるが、タラノキは中国名の遼東…

煙草

○煙草(たばこ) 南米のボリビア南部のアンデス山地を原産とするナス科の多年草タバコ(Nicotiana tabacum)の葉と茎を用いる。現在では中国、アメリカ、インドなど世界中で広く栽培されている。 紀元前からすでに中米のインディオの間ではタバコの喫煙が行…

獺肝

○獺肝(たっかん) ほぼ世界全域に生息するイタチ科の動物カワウソ(Lutra lutra)の肝臓を用いる。かつて日本各地にニホンカワウソが生息していたが、毛皮はラッコに似ていて良質のために乱獲され、1979年に高知県の須崎で目撃されたのを最後に、現在で…

竹蜂

○竹蜂(たけばち) 中国の華南地方や台湾に分布するミツバチ科のタイワンタケクマバチ(Xylocopa dissimilis)の乾燥した全虫体を用いる。このクマバチは竹に営巣するもので、竹の各室に花粉と蜜を貯えて産卵し、冬には巣内で越冬する。 このクマバチを秋か…

沢蘭

○沢蘭(たくらん) 日本各地から東アジアにかけて分布するシソ科の多年草シロネ(Lycopus lucidus)の開花期全草を用いる。シロネの根は地筍という。根が白いためにシロネといい、春に肥大した根を掘り出して食用にすることができる。 シロネは水辺や湿地に…

沢瀉

○沢瀉(たくしゃ) 中国東北部や朝鮮、日本の北部に分布し、沼沢地や浅い水中に生えるオモダカ科の多年草サジオモダカ(Alisma plantago-aquatica)の塊茎を用いる。北海道や信州で栽培されているが、市場品のほとんどは中国などからの輸入品で、四川省の川…

沢漆

○沢漆(たくしつ) 日本各地、アジア、ヨーロッパに分布するトウダイグサ科の越年草トウダイグサ(Euphorbia helioscopia)の全草を用いる。中国では開花期に採り、根を除いて用いる。枝先に杯状の花序が多数密生する様子を、昔の灯台にみたててトウダイグサ…

槖吾

○槖吾(たくご) 北日本を除く日本各地や朝鮮、中国などに分布するキク科の常緑多年草ツワブキ(Farfugium japonicum)の茎や根茎、葉を用いる。中国では前走を蓮蓮草と称して薬用にする。ツワブキは艶蕗と書き、葉がフキの葉に似てしかもツヤがあることによ…

高遠草

○高遠草(たかとうぐさ) 日本全土、朝鮮半島、中国東北部に分布するキンポウゲ科の多年草アキカラマツ(Thalictrum minus)の全草を用いる。中国ではアキカラマツの根を煙鍋草という。日本では秋の開花期で結実する前に採取する。 名前は花の形がカラマツの…

タイム

○タイム 地中海沿岸地方の原産で日本には明治時代に渡来したシソ科の常緑小高木タチジャコウソウ(Thymus vulgaris)の開花期の全草を用いる。初夏に薄紫色の小さな花を咲かせ、独特の芳香がある。この香りから麝香草の名がある。 タイムとは「力」を意味し…

大麻

○大麻(たいま) 中央アジア原産のクワ科の一年草アサ(Cannabis sativa)の雌株の未熟果穂をつけた枝先や葉を用いる。本来、この植物をアサ(麻)と呼んでいたが、いつの間にか繊維植物の総称として麻というようになり、現在では亜麻や苧麻の繊維のことを麻…

大腹皮

○大腹皮(だいふくひ) マレー半島原産でインドネシア、フィリピン、中国南部に植栽されるヤシ科の常緑高木ビンロウ(Areca catechu)の果実の果皮を大腹皮という。種子は檳椰子という。日本には奈良時代にこの果実が薬用や染料の目的で輸入された記録がある…

大風子

○大風子(だいふうし) 東南アジアやインドなどで栽培されているイイギリ科の常緑高木ダイフウシノキ(Hydnocarpus anthelmintica)の種子を用いる。大風というのはハンセン病(癩病)のことである。 インドには古くからチャウルムグラ(H.wightiana)の種子…

大棗

○大棗(たいそう) ヨーロッパ南部からアジア西南部が原産とされているクロウメモドキ科の落葉高木ナツメ(Zizphus jujuba var.inermis)の半熟果実を用いる。ナツメの枝には刺はないか、あるいは少ないが、この母種といわれるサネブトナツメ(Z.jujuba)に…

大青葉

○大青葉(たいせいよう) クマツヅラ科のマキバクサギ(Clerodendron cyrtophyllum)、タデ科のアイ(Polygonum tinctorium)、アブラナ科のホソバタイセイ(Isatis tinctoria)やタイセイ(I.indigotica)、キツネノマゴ科のリュウキュウアイ(Strobilanthe…

大豆黄巻

○大豆黄巻(だいずおうけん) マメ科のダイズ(Glycine max)の種子を発芽させ、1cmくらいのもやしになったものを用いる。ダイズはアメリカをはじめ、ブラジル、中国、アルゼンチンなど世界各地で栽培され、ダイズもやしは中華料理、韓国料理で多く利用さ…

代赭石

○代赭石(たいしゃせき) 中国各地に産する赤鉄鉱(Hematite)の一種で、多少粘土を混有したものである。日本では新潟県の佐渡に産する。成分は主に酸化鉄(Fe2O3)からなり、ケイ酸(SiO2)やアルミニウム化合物(Al2O3)なども含み、またマンガン、マグネ…

太子参

○太子参(たいしじん) 中国、朝鮮半島、日本に分布しているナデシコ科の多年草ワダソウ(Pseudostellaria heterophylla)の塊根を用いる。主産地は江蘇・山東省である。 太子参とはもともとウコギ科のオタネニンジンの小さいものを指したが、その代用として…

大蒜

○大蒜(たいさん) 西アジア原産とされるユリ科の多年草ニンニク(Allium sativum)の鱗茎を用いる。ニンニクは前漢の時代に長騫がインド(西域)から中国に持ち帰ったものといわれ、かつては胡蒜とか葫といわれていた。日本にも古くから朝鮮を経由して伝来…