漢方生薬辞典

約780種の生薬を五十音順に紹介。日本の漢方薬や伝統薬に配合されている和漢生薬、民間薬、ハーブなども紹介。

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2013-12-01から1ヶ月間の記事一覧

猪苓

○猪苓(ちょれい) 日本の北海道や東北地方、朝鮮半島、中国各地などに分布する担子菌類サルノコシカケ科のチョレイマイタケ(Polyporus umbellatus)の乾燥した菌核を用いる。 チョレイマイタケは山林中のブナ、ミズナラ、カエデ、クヌギなどの腐食した根に…

苧麻根

○苧麻根(ちょまこん) 中国からマレーシアを原産とするイラクサ科の多年草ナンバンカラムシ(Boehmeria nivea)の根を用いる。また茎皮を苧麻皮、葉を苧麻葉、花を苧麻花という。 古くから日本でも栽培され、野生化した帰化植物で、カラムシという名は韓国…

猪胆

○猪胆(ちょたん) イノシシ科の動物ブタ(Sus scrofa domestica)の胆嚢を猪胆といい、胆汁を猪胆汁という。ブタは主要な家畜であり、中国では紀元前2800年頃から飼育されていたという。 ブタはイノシシを飼い慣らした家畜であり、品種はかなり多い。性…

楮実

○楮実(ちょじつ) 日本の中部地方以南および中国、台湾に分布するクワ科の落葉高木カジノキ(Broussonetia papyrifera)の成熟果実を用いる。コウゾ(B.kazinoki)とともに和紙の製紙原料として栽培されている。 果実にはサポニン、ビタミンB、脂肪酸のリ…

釣藤鉤

○釣藤鉤(ちょうとうこう) 中国南部、日本では関東以西の産地に自生するつる性木本、アカネ科のカギカズラ(Uncaria rhynchophylla)の鉤の付いた茎を用いる。中国にはトウカギカズラ(U.sinensis)など多種の同属植物があり、それらも使用している。 中国…

丁字

○丁字(ちょうじ) インドネシアやマレーシア、東アフリカなどで栽培されているフトモモ科のチョウジ(Syzygium aromaticum)の蕾を用いる。果実は母丁香といい、また古代中国では果実の形が鶏の舌に似ているとして鶏舌香とも呼ばれていた。チョウジという名…

地楡

○地楡(ちゆ) 日本各地およびアジアからヨーロッパにかけて分布するバラ科の多年草ワレモコウ(Sanguisorba officinalis)の根および根茎を用いる。ワレモコウは秋の野草の一つで生け花にも用いられ、また春先には若い葉をおひたしにして食べる。 ワレモコ…

茶葉

○茶葉(ちゃよう) 中国原産のツバキ科の常緑小高木チャ(Camellia sinensis)の葉の乾燥したものを用いる。茶の変種としてインドのアッサム地方原産のアッサム茶もある。 中国では紀元前10世紀の周の時代に薬用とされ、紀元前3世紀ごろに嗜好品とされ始…

知母

○知母(ちも) 中国東北部から北西部にかけて分布し、日本にも江戸時代に渡来し、栽培されているユリ科のハナスゲ(Anemarrhena asphodeloides)の根茎を用いる。葉がスゲに似て花がそれより美しいためその名がある。中国河北省が主産地として有名で、品質の…

蜘蛛

○蜘蛛(ちしゅ) コガネグモ科のオニグモ(Aranea ventricosa)の全虫を用いる。オニグモはダイミョウグモともいわれ、日本各地に分布する。全体が黄褐色で腹部は丸くて大きく、体長はオスが約2cm、メスが約3cmである。夕方になると大きな円い網を張り…

竹瀝

○竹瀝(ちくれき) イネ科ハチク(Phyllostachys nigra)の茎を火であぶって流れ出た液汁を竹瀝という。新鮮な竹棹を縦に割って火であぶると両端から液が流れ出る。竹瀝はこれを集めたもので、青黄色ないし黄褐色の透明な液体で焦げた臭いがある。 漢方では…

竹葉

○竹葉(ちくよう) イネ科ハチク(Phyllostachys nigra)の葉のことを竹葉という。イネ科のササクサ(Lophatherum gracile)り全草を淡竹葉といいう。しかし竹葉と淡竹葉とはしばしば混同され、日本ではハチクの葉を和淡竹葉ということもある。 ハチクは中国…

竹節人参

○竹節人参(ちくせつにんじん) 北海道から九州までの山地に自生するウコギ科の多年草トチバニンジン(Panax japonicus)の根茎を用いる。竹節人参は竹参、土参ともいう。葉がトチノキの葉に似ているところからトチバニンジンといわれ、根は竹の根に似て節く…

竹筎

○竹筎(ちくじょ) イネ科のハチク(Phyllostachys nigra)の茎の中間層を用いる。まず第一層の緑色の外皮を薄く削り取り、つぎに中間層を削って帯状にする。黄緑色ないし淡黄白色で、ざらざらしており、よい香りがする。 成分にはトリテルペノイドのアルン…

竹巻心

○竹巻心(ちくけんしん) イネ科ハチク(Phyllostachys nigra)のまだ開いていない幼葉を用いる。マダケ(P.bambusoides)などの幼葉も用いられる。通常は明け方に摘み取った新鮮なものを用いる。 ハチクは葉を竹葉、内皮を竹筎といい、薬用にする。竹巻心の…

胆礬

○胆礬(たんぱん) 銅の鉱石中に含まれる藍色の結晶、天然の硫酸銅を胆礬という。また硫酸と銅を反応させて人工的に硫酸銅をつくることもできる。不規則な塊状の結晶体で藍色であり、ガラス様の光沢がある。 成分は硫酸第二銅の5水塩(CuSO4・5H2O)であり…

タンニン

○タンニン 18世紀末、動物の皮をなめす作用のある植物の水溶性の成分にタンニンという名がつけられた。また、その味から渋ともいわれている。 「鞣す」とは動物の皮の腐敗を防ぎ、通気性、柔軟性、耐久性を持たせることをいい、紀元前から植物の根や樹皮を…