漢方生薬辞典

約780種の生薬を五十音順に紹介。日本の漢方薬や伝統薬に配合されている和漢生薬、民間薬、ハーブなども紹介。

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2013-05-01から1ヶ月間の記事一覧

女貞子

○女貞子(じょていし) 中国原産で、日本でも公園樹としてよく植えられているモクセイ科の常緑小高木トウネズミモチ(Ligustrum lucidum)の果実を用いる。日本の関東南部から沖縄県、朝鮮半島、台湾などに分布するネズミモチ(L.japonicum)の果実も女貞子…

徐長卿

○徐長卿(じょちょうけい) 日本各地及び東南アジアの温帯に分布するガガイモ科の多年草スズサイコ(Cynanchum paniculatum)の根及び根の付いた全草を用いる。全草にはペオノール、サイコスチン、根にはペオノール、フラボノイド配糖体、アミノ酸などが含ま…

徐虫菊

○徐虫菊(じょうちゅうぎく) バルカン半島、ダルマチア地方原産のキク科の多年草ジョチュウギク(chrysanthemum cinerariaefolium)の頭状花を用いる。日本には明治初期に渡来し、北海道、岡山、広島、愛媛などで栽培され、戦前には世界第一の生産量をあげ…

蜀漆

○蜀漆(しょくしつ) 東南アジアやインド、中国の南部に自生するユキノシタ科の常緑低木ジョウザンアジサイ(Dichroa febrifuga)の若い枝の葉を用いる。根は常山として有名である。 効能は常山とほぼ同じで抗瘧の効能があり、マラリアに用いる。傷寒論、金…

食塩

○食塩(しょくえん) 海水あるいは塩井などの塩分を含んだ水を乾燥して得られる塩の結晶を用いる。中国において海水からの製塩は有史以前から、特に沿岸地区で行われていた。古くからの製塩法には太陽熱を利用した天日塩製法や加熱製塩法などがある。 春秋時…

商陸

○商陸(しょうりく) 中国を原産とし日本でも野生化しているヤマゴボウ科の大型多年草ヤマゴボウ(Phytolacca esculenta)の根を用いる。ヨウシュヤマゴボウ(P.americana)のほうがよく見られるが、この根は美商陸という。 ヤマゴボウの葉は食用にされるが…

松籮

○松籮(しょうら) 日本各地や東アジアに分布する樹枝状地衣類であるサルオガセ科のナガサルオガセ(Usnea longissima)やヨコワサルオガセ(U.diffracta)の全体(糸状体)を用いる。この地衣植物は亜高山の針葉樹などに寄生し、枝からレースのように垂れ下…

椒目

○椒目(しょうもく) 中国の各地に自生し、栽培されているミカン科の落葉低木カホクザンショウ(Zanthoxrlum bungeanum)の種子を椒目という。この果実の果皮を花椒という。 日本では一般に花椒の代わりに同属のサンショウ(Z,piperitum)の果皮を山椒として…

升麻

○升麻(しょうま) 北海道から九州、中国、朝鮮半島、シベリアにかけて分布するキンポウゲ科の多年草サラシナショウマ(Cimicifuga simplex)の根茎を用いる。そのほかフブキショウマ(C.dahurica)やオオミツバショウマ(C.heracleifolia)の根茎を用いる。…

菖蒲根

○菖蒲根(しょうぶこん) 日本で一般に菖蒲といわれているものには、アヤメ科のハナショウブ(Iris ensata)とサトイモ科のショウブとがある。菖蒲園などで有名なのはハナショウブ(花菖蒲)のことがあるが、薬用にする菖蒲はサトイモ科のショウブ属の植物(…

薔薇花

○薔薇花(しょうびか) 日本、朝鮮半島に分布するバラ科のつる性に落葉低木ノイバラ(Rosa multiflora)の花を用いる。ノイバラの果実(偽果)は営実であり、葉を薔薇葉、根を薔薇根という。また花を蒸留したものは薔薇露という。 ノイバラは最もよく見られ…

小麦

○小麦(しょうばく) カスピ海南岸を原産とするイネ科の越年草コムギ(Triticum aestivum)の種子あるいは粉を用いる。コムギは紀元前7000年ごろから栽培が始まり、世界で最も生産が多い穀物である。 この栽培されるコムギの9割はパンコムギで、日本の…

樟脳

○樟脳(しょうのう) 関東地方以南、四国、九州、台湾、中国南部に分布するクスノキ科の常緑高木クスノキ(Cinnamomum camphora)の根、幹、枝、葉を蒸留精製した顆粒状結晶を樟脳という。 クスノキは枝や葉をはじめ樹木全体に独特の香りがある。樟脳は特有…

鍾乳石

○鍾乳石(しょうにゅうせき) 石灰岩の洞窟に産出し、つらら状に下がった鍾乳石(スタラサイト:Stalactite)を用いる。 炭酸塩類の鉱物で、石灰岩の炭酸カルシウム(CaCO3)の水溶液が滴り落ちて長い間に晶出したものである。太いものを鍾乳石といい、細く…

松藤

○松藤(しょうとう) 日本の各地、朝鮮半島の南の済洲島に分布するモクレン科の落葉つる性低木、マツブサ(Schisandra repanda)の蔓や葉を用いる。日本の固有種のため、中国名はなく、中国の松藤とは関係がない。 樹皮はアカマツに似て、蔓を折るとマツヤニ…

松節

○松節(しょうせつ) 中国の中南部の各地に分布しているマツ科の常緑高木タイワンアカマツ(Pinus massoniana)やユショウ(P.tabulaeformis)などのマツの枝や幹の節を用いる。松を基原とする生薬には、幹からとった樹脂の松香、樹皮から抽出したピクノジェ…

硝石

○硝石(しょうせき) 乾燥地帯の地表や洞窟に風化物として少量産する鉱物、硝石(Niter)を生成してできた結晶を用いる。通常、チリ硝石や瀉利塩、灰硝石、石膏などと同じ場所にある。 窒素を含む物質や動物質に硝化バクテリアという細菌が作用して産するこ…

生漆

○生漆(しょうしつ) 中国、インドを原産とする漆科の落葉高木ウルシ(Rhus verniciflua)の樹脂を用いる。この樹脂を乾燥させて固めたものを乾漆という。ウルシの幹に深い傷をつけ、しみ出てくる半透明で乳白色の粘調な樹液を採取する。 中国では殷・周の時…

生地黄

○生地黄(なまじおう) 中国原産のゴマノハグサ科の多年草ジオウ(Rehmannia glutinosa)の根を用いる。生地黄というのは、採集後3ヶ月以内の新鮮な根のことで、採取した後、乾燥した砂の中で保存したものである。 日本では国産の新鮮な地黄を生地黄と呼び…

常山

○常山(じょうざん) 東南アジアやインド、中国の南部に自生するユキノシタ科の常緑低木ジョウザンアジサイ(Dichroa febrifuga)の根を用いる。同じユキノシタかにアジサイがあり、やや似ているためにジョウザンアジサイという名がある。 この若葉も蜀漆と…