漢方生薬辞典

約780種の生薬を五十音順に紹介。日本の漢方薬や伝統薬に配合されている和漢生薬、民間薬、ハーブなども紹介。

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2014-03-01から1ヶ月間の記事一覧

肉ジュ蓉

○肉蓯蓉(にくじゅよう) 中央アジアからモンゴル、中国、シベリアの砂漠地帯に分布するハマウツボ科の一年草ホンオニク(Cistanche salsa)や同属植物の肉質茎を用いる。日本では本州の中部以北、北海道に分布するオニク(キムラタケ:Boschniakia rossica…

苦木

○苦木(にがき) 日本の各地、東アジアにかけて広く分布するニガキ科の落葉小高木ニガキ(Picrasma quassioides)の樹皮を除いた材を用いる。どの部分も噛むと苦いためニガキという。ニガキ(苦木)というのは和名であるが、中国でも正式な植物名を苦木と定…

南蛮毛

○南蛮毛(なんばんもう) 熱帯アメリカ原産のイネ科の一年草トウモロコシ(Zea mays)の雌花の長い花柱、つまりトウモロコシの毛を用いる。日本市場では南蛮毛とかナンバの毛と呼ばれているが、中国では一般に玉米鬚といい、英語ではコーンシルクという。 ト…

南天実

○南天実(なんてんじつ) 中国やインド、日本の南部に分布しているメギ科の常緑低木ナンテン(Nandina domestica)の果実を用いる。中国では南天竹子と呼ばれている。秋から冬にかけて果実が赤く熟し、よく低木などに植栽されている。果実は赤い色が一般的で…

南瓜子

○南瓜子(なんかし) 南メキシコから中米にかけてを原産とするウリ科のつる性一年草カボチャ(Cucurbita moschata)の種子を用いる。日本には16世紀、豊後の国に漂着したポルトガル船で伝えられたといわれ、カボチャの名は「カンボジアに生じたる」という…

○鉛(なまり) 鉛は重くて柔らかい金属で展性・延性に富み、ローマ時代には水道管や浴場、食器や壺として使用されていた。おもな原鉱石は方鉛鉱(PbS)であり、そのほか白鉛鉱(PbCO3)や硫酸鉛鉱(PbSO4)などもある。 生薬に用いる鉛には金属の黒鉛のほか…

夏皮

○夏皮(なつかわ) ミカン科の常緑低木ナツミカン(Citrus natsudaidai)の成熟した果実の果皮を用いる。未熟果実はダイダイなどとともに枳実、枳殻としても用いられる。ナツミカンは18世の初め、山口県長門市青梅島の海岸に漂着した果実の種子を蒔いたも…

豚脂

○豚脂(とんし) イノシシ科動物のブタ(Sus scrofa domestica)の脂肪を用いる。ブタは古くから家畜として飼育されていた動物で、薬用にもあらゆる臓器が利用されている。ブタの脂肪はラードともいわれ、食用や石鹸の原料のほか軟膏基剤としても重要である…

登呂根

○登呂根(とろこん) 日本各地、朝鮮半島、中国などに分布するナス科の多年草ホウズキ(Physalis alkekengi)の根を用いる。中国では根を酸漿根といい、全草を酸漿、がくを挂金灯という。日本では果実を登呂実という。 花の後ろにがくが肥大し、果実を包みこ…

土木香

○土木香(どもっこう) ヨーロッパ、北アジア原産で北米などでも野生化しているキク科の大型多年草オオグルマ(Inula helenium)の根を用いる。日本には江戸時代に薬用として渡来し、大和や信濃などで栽培されていたと伝えられている。 木香とはインド原産の…

土茯苓

○土茯苓(どぶくりょう) 中国からインドにかけて分布するユリ科のつる性落葉低木ケナシサルトリイバラ(Smilax glabra)の根茎を用いる。生薬名を中国では土茯苓というが、日本では一般に山帰来と呼んでいる。 ところで日本にはケナシサルトリイバラは自生…

独活

○独活(どっかつ) 日本では本州、四国、九州、中国などに分布するセリ科の多年草シシウド(Angelica pubescens)およびその近縁植物の根や根茎を用いる。日本産の独活(和独活)はウコギ科のウド(Aralis cordata)の根茎(宿根)のことをいい、側根は羗活…

土通草

○土通草(どつうそう) 日本の北海道から九州にかけて分布するラン科の大型の多年草ツチアケビ(Galeola septentrionalis)の果実を用いる。ツチアケビはナラタケと共生する腐生ランで、葉がなく、全体が黄褐色をしている。草丈は50~100cmで、秋に赤…

杜仲

○杜仲(とちゅう) 中国原産であるトチュウ科の常緑高木トチュウ(Eucommia ulmoides)の樹皮を用いる。日本産の和杜仲はニシシギ科のマサキ(Euonymus japonicus)であり、成分や薬効が異なり代用にはならない。最近では長野県の伊那谷や広島県の因島などで…

杜松実

○杜松実(としょうじつ) 日本の関東地方以西、朝鮮半島、中国に分布しているヒノキ科の常緑低木、ネズ(Juniperus rigida)の球果を用いる。ネズサシともいうが、葉の先が針のように尖っていて、この葉のついた小枝をネズミ穴に差し込んでおくとネズミが通…