漢方生薬辞典

約780種の生薬を五十音順に紹介。日本の漢方薬や伝統薬に配合されている和漢生薬、民間薬、ハーブなども紹介。

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2015-01-01から1年間の記事一覧

木蝴蝶

○木蝴蝶(もくこちょう) インドから中国南部の山野に自生するノウゼンカズラ科の高木、ソリザヤノキ(Oroxylum indicum)の種子を用いる。 種子は半透明の膜質の翼によって包まれ、4×7cmくらいの大きさの楕円形で、あたかも蝶のような形をしているため…

木槿皮

○木槿皮(もくきんぴ) 中国、インドを原産とし世界各地に植栽されているアオイ科の落葉低木ムクゲ(Hibiscus syriacus)の枝皮や幹皮を用いる。一般に薬用には白花種が使われる。また花を木槿花、果実を木槿子といい薬用にする。 日本には室町時代に中国か…

礞石

○礞石(もうせき) 礞石といえば一般に青礞石のことを指すが、そのほか金礞石をいうこともある。青礞石は粘土鉱物のひとつで、緑泥石に曹長石が混ざった緑泥片岩(Chlorite schist)のことである。 緑泥石は鉄、マグネシウム、アルミニウムなどを含む含水ケ…

目木

○目木(めぎ) 日本の関東地方以西、四国、九州に普通に分布するメギ科の落葉低木メギ(Berberis thunbergii)の枝や幹の木部を用いる。枝には鋭い刺があり、コトリトマラズとかヨロイドオシという別名もある。 メギとは目木とも書き、目の病気に用いること…

榠櫨

○榠櫨(めいさ) 中国原産で日本や朝鮮半島、アメリカなどでも栽培されているバラ科の落葉高木カリン(Chaenomeles sinensis)の果実を用いる。中国では同じバラ科のボケ(C.speciosa)を木瓜(皺皮木瓜)といい、榠櫨のことを光皮木瓜ともいう。 ところで日…

無名異

○無名異(むみょうい) 水成鉱床に見られる軟マンガン鉱、パイロルーサイト(Pyrolusite)を用いる。黒褐色の直径1cm前後の球形で、表面は常に黄褐色の粉末に覆われている。主成分は二酸化マンガン(MnO2)であるが、そのほかに鉄、コバルト、ニッケルな…

無花果

○無花果(むかか) 小アジア原産のクワ科の小高木イチジク(Ficus carica)の果実を用いる。中国では葉を無花果葉というが、日本では慣例的に唐柿葉と呼んでいる。 イチジクは旧約聖書の創世記の中に登場するもので、栽培果樹としては世界最古の歴史を有する…

ムイラプアマ

○ムイラプアマ 南米アマゾン川流域に分布するボロボロノキ科の低木ムイラプアマ(Ptychopetalum olacoides)の根及び樹皮を用いる。ただし、ブラジルでムイラプアマと呼ばれている植物に、別のボロボロノキ科のLiriosma ovataもあり、同様の効能が謳われて商…

蜜蝋

○蜜蝋(みつろう) ミツバチ科のミツバチなどの働き蜂が腹部から分泌したもので、巣を構成している蠟質のものを精製して用いる。蜂蜜を取った後の蜂の巣を水と一緒に過熱して溶解し、上層の滓を除いて熱いうちに濾過し、それを放置して水面に浮かんでくる凝…

密蒙花

○密蒙花(みつもうか) 中国の中部や西南部に分布するフジウツギ科の落葉低木ワタフジウツギ(Buddle jaofficinalis)の花または蕾を乾燥したものを用いる。 同属植物のフジウツギ(B.japonica)は別名「毒流し草」、トウフジウツギ(B.lindleyana)の中国名…

密陀僧

○密陀僧(みつだそう) 鉛の溶解したところを鉄の棒でかき回し、鉄の棒に付着した鉛を冷水に浸してできる一酸化鉛(リサージ:Litharge)を密陀僧という。かつては方鉛鉱から銀や鉛を精錬する際に炉の底に沈着した副産物であった。 橙黄色の不規則な塊状で、…

○水(みず) 通常、生薬を煎じるときには水を用いる。現在、煎剤用には精製水、蒸留水、水道水などが用いられているが、かつてはさまざまな天然水を用いた。 天然水は硬水と軟水とに区別され、カルシウムイオンやマグネシウムイオンなどのイオンを比較的多く…

万年青

○万年青(まんねんせい) 日本では関東地方以西、中国などに分布するユリ科の常緑多年草オモト(Rohdea japonica)の根及び根茎あるいは葉を用いる。根を万年青根、葉を万年青葉という。 葉が常に青いため万年青といい、株が太いのでオオモトと呼ばれ、後に…

マンドラゴラ

○マンドラゴラ ヨーロッパの地中海沿岸に分布しているナス科の多年草マンドラゴラ(Mandragora officinarum)の根を用いる。英語ではマンドレイク(Mandrake)、別名をデビルズアップル(Devil's Apple)といい、旧約聖書には「恋なすび」とある。 マンドラ…

曼荼羅華

○曼荼羅華(まんだらげ) 熱帯アジア原産で、中国南部に自生し、栽培されているナス科の一年草、チョウセンアサガオ(Datura metel)およびケチョウセンアサガオ(D.innoxia)の開花しはじめた花を用いる。日本には薬用として江戸時代に輸入され、キチガイナ…

蔓荊子

○蔓荊子(まんけいし) 本州以南、朝鮮半島、台湾、中国、東南アジアなど太平洋西部沿岸に分布するクマツヅラ科の落葉低木ハマゴウ(Vitex rotundifolia)の果実を用いる。 浜辺の砂地に群生し、幹が砂の上を這って横に延び、ところどころに根をおろす。茎葉…

松葉

○松葉(まつば) 日本の北海道南部から九州、朝鮮半島、中国の東北部に分布するマツ科の常緑針葉高木アカマツ(Pinus densiflora)の葉を用いる。中国ではタイワンアカマツ(P.massoniana)やユシュウ(P.tabulaeformis)などのマツの葉を松葉という。 日本…

麻薬

○麻薬(まやく) 麻薬とは陶酔感や多幸感などの効果があり、反復使用することで習慣性や依存性を生じ、慢性中毒を起こす薬物のことである。ただし、一般には麻薬とは法的に定められた用語であり、規制の対象となるアヘンアルカロイド系麻薬、コカアルカロイ…

茉莉花

○茉莉花(まつりか) アラビアからインドにかけてを原産とするモクセイ科の常緑低木マツリカ(Jasminumsambac)の花を用いる。熱帯性の植物で、フィリピンやインドネシアの国花としても知られている。 マツリカは香料植物のジャスミンとして古くから有名であ…

馬銭子

○馬銭子(まちんし) インド、東南アジアからオーストラリア北部に分布するマチン科の常緑高木マチン(Strychnosnux-vomica)の種子を用いる。種子は直径2cmくらいの扁平な円盤状で中央がくぼみ、その中心に突起がある。 マチン科の植物は世界各地の熱帯…

麻子仁

○麻子仁(ましじん) 中央アジア原産のクワ科の一年草、アサ(CAnnabissativa)の種子を用いる。中国では一般に火麻仁という。この種子は苧実とか麻実とも呼ばれ、薬味として七味唐辛子に入れられたり、小鳥の飼料、麻油の原料に用いられている。今日、アサ…

孫太郎虫

○孫太郎虫(まごたろうむし) 日本の各地に分布するヘビトンボ科のヘビトンボ(Protohermesgrandis)の幼虫を用いる。ヘビトンボは体長4cm、翅の長さは8~9cmで、翅は半透明で体は黄褐色のトンボに似ているが、眼が小さく顔がヘビに似ているのその名…

麻黄根

○麻黄根(まおうこん) マオウ科の常緑小低木マオウや木賊麻黄などの根および根茎を用いる。地上茎は麻黄である。魔王の根は木質で、掘りあげると根の表面は紅褐色をしている。 最近、麻黄根の成分としてエフェドラジンA~Dが発見され、血圧降下作用や止汗…

麻黄

○麻黄(まおう) 中国東北部、モンゴルなど乾燥地帯を中心に自生しているマオウ科の常緑小高木マオウ(ephedrasinica)や木賊麻黄(E.equisetina)などの地上茎を用いる。 マオウはスギナに似た植物で地上部の茎は草質であるが、茎の下部は木質化している。…

玫瑰花

○玫瑰花(まいかいか) 日本各地および東アジアの温帯から亜寒帯にかけて分布するバラ科の落葉低木ハマナス(Roserugosa)の咲きかけた花を用いる。おもに海岸の砂地に生え、日本では太平洋側で千葉県、日本海側で鳥取県以北に分布する。 日本のハマナスの花…

翻白草

○翻白草(ほんぱくそう) 日本の近畿地方以西、朝鮮半島、中国に分布するバラ科の多年草ツチグリ(Potentilladiscolor)の根を含む全草を用いる。 花が開花する前に蕾をつけたまま採取する。葉の裏が綿毛のために白くみえることから翻白草、肥厚した根がその…

牡蠣肉

○牡蠣肉(ぼれいにく) イタボガキ科のマガキをはじめ、中国では近江牡蠣、大連湾牡蠣などの肉を用いる。中国ではカキの肉を一般に蠔(hao)という。カキニクは「海のミルク」と呼ばれるように、グリコーゲン、タウリン、必須アミノ酸のほか、銅、亜鉛、マン…

牡蠣

○牡蠣(ぼれい) 日本や朝鮮半島、中国など近海に生息するタイボガキ科のマガキ(Ostreagigas)をはじめとして、中国では近江牡蠣(O.rivularis)、大連湾牡蠣(O.talienwhanensis)などの貝殻を用いる。 カキ全体を指して牡蠣と書くが、牡蠣とは本来、カキ…

牡丹皮

○牡丹皮(ぼたんぴ) 中国を原産とし、中国北西部に自生するボタン科の落葉低木ボタン(paeoniasuffruticosa)の根皮を用いる。ボタンは中国を代表する国花で花王とも讃えられ、古くから薬用や観賞用に栽培され、唐代に大流行したといわれる。 日本には奈良…

補骨脂

○補骨脂(ほこつし) インド原産で、インドから東南アジアに分布するマメ科の一年草オランダビユ(Psiraleacoyylifolia)の成熟した果実(種子)を用いる。 補骨脂はその薬効を表した名といわれるが、婆骨脂は破故紙などいずれも同じような中国音を当てた別…