漢方生薬辞典

約780種の生薬を五十音順に紹介。日本の漢方薬や伝統薬に配合されている和漢生薬、民間薬、ハーブなども紹介。

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2015-06-01から1ヶ月間の記事一覧

芒硝

○芒硝(ぼうしょう) 天然に産する芒硝(Mirabilite)を再結晶精製したものを用いる。天然の芒硝は内陸の塩湖に形成される。この芒硝を熱湯で溶解し、濾過した後に冷却して上層にできる結晶を芒硝、下層の結晶を朴硝という。すなわち朴硝は不純物がやや多く…

芽根

○芽根(ぼうこん) 日本全土をはじめアジアやアフリカなどに広く分布するイネ科の多年草チガヤ(Imperatacylindrica)の根茎を用いる。日当たりのよい土手や堤防などに群生している。 春先の花序がまだ葉鞘内にあるときには甘みがあり、ツバナと呼ばれて食べ…

硼砂

○硼砂(ほうしゃ) 乾燥地帯の湖水または鹸湖に産するホウ素やホウ酸の原料鉱石である硼砂(ボラックス:Borax)を精製してできた結晶を用いる。白色で粒状あるいは土塊状の硼砂を沸騰水に溶かした中に、麻縄を垂直に降ろして漬け、析出した結晶を取り出して…

望江南

○望江南(ぼうこうなん) 熱帯アメリカ原産のマメ科の一年草ハブソウ(Cassiaoccidentalis)の茎葉を用いる。日本には江戸時代に渡来し、小笠原諸島や沖縄県では野生化している。 日本では種子も望江南というが、中国では種子を望江南子という。マムシ(ハブ…

望月砂

○望月砂(ぼうげっしゃ) ウサギ科動物、モウコウウサギ(Lepustolai)などの野兎の乾燥した糞を用いる。モウコ兎は中国東北部から内蒙古にかけて分布しているが、そのほか中国各地に生息している種々の野兎の糞も用いる。 秋ごろに野草を刈った後、見つけた…

防已

○防已(ぼうい) 日本ではツヅラフジ科のオオツヅラフジ(Sinomenium acutum)の茎や根茎を防已あるいは漢防已といい、アオツヅラフジ(Cocculus trilobus)の茎や根茎を木防已という。 中国産の防已(漢防已)の基原植物はツヅラフジ科のシマハスノハカズラ…

ヘンルーダ

○ヘンルーダ 南ヨーロッパ原産のミカン科の多年草ヘンルウダ(Rutagraveolens)の全草を用いる。日本には明治初期に渡来し、薬用植物として栽培されている。 全草に特異な香りがあり、葉を本に挟むとシミの害の予防になる。ヨーロッパでは古来より葉をソース…

扁桃

○扁桃(へんとう) 西アジア原産で、世界各地で栽培されているバラ科の落葉高木アーモンド(Prumus dulcis)の種子(仁)を用いる。アーモンドは仁を食用とする果樹で、約4000年前からヨルダン地方で栽培され、現在では主に地中海沿岸や米国のカリフォル…

萹蓄

○萹蓄(へんちく) 日本各地および世界の温帯から亜熱帯にかけて分布するタデ科の一年草ナワヤナギ(Polygonum aviculare)の全草を用いる。別名をミチヤナギともいうが、庭や道によく生えて葉がヤナギに似ているためにその名がある。 成分にはフラボンのア…

ベラドンナ

○ベラドンナ 西アジアを原産とし、ヒマラヤの山岳からイラン、ヨーロッパ中南部に分布するナス科の大型多年草ベラドンナ(Atropa belladonna)の葉をベラドンナ葉、根をベラドンナ根という。 ベラドンナとは「美しき(ベラ)婦人(ドンナ)」という意味で、…

ペヨーテ

○ペヨーテ メキシコ北部からアメリカのテキサス州南部にかけて分布するサボテン科のウバタマ(Lophophora williamsii)の茎頂部を用いる。サボテンとしては小型で、直径5~10cm、高さ3~6cmの偏平な青緑色をした球形で、トゲはなく乳房状のイボがあ…

紅更紗

○紅更紗(べにさらさ) 本州北部から北海道に分布するマメ科の多年草エゾノレンリソウ(Lathyrus palustris var.pilosus)の全草を用いる。レンリソウ(連理草)とは小葉が対生する様子を表した名で、スイートピーと同属植物である。 エゾレンリソウは別名ベ…

別甲

○別甲(べっこう) スッポン科のスッポン(Amyda japonica)およびシナスッポン(A.sinensis)の背および腹の甲羅を用いる。一般に背の甲羅が使用される。背甲を煮詰めたニカワを別甲膠という。 スッポンは淡水に生息し、背甲は淡い灰緑色の楕円形で亀甲がな…

屁糞蔓

○屁糞蔓(へくそかずら) 日本各地、朝鮮半島、中国、台湾、フィリピンなどに分布するアカネ科のつる性多年草ヘクソカズラ(Paederia scandens)の果実や全草、根を用いる。茎や葉には独特の悪臭があり、そのため屁糞蔓とか鶏屎藤といった気の毒な名前がある…

文蛤

○文蛤(ぶんごう) 二枚貝のマルスダレガイ科ハマグリ(Meretrix meretrix)などの貝殻を用いる。ハマグリは日本、朝鮮半島、中国南部の近海に多く産し、肉は食用にされる。また近縁のオキシジミ(Cyclina sinensis)の貝殻とともに海蛤殻としても用いられて…

プルーン

○プルーン コーカサスからイランの北部を原産とするバラ科の落葉果樹セイヨウスモモ(Prunus domestica)の乾燥果実をいう。 スモモにはおもに中国や日本を原産とする日本スモモ(P.salicina)と欧米で栽培されている西洋スモモとがある。西洋スモモは古代か…

浮萍

○浮萍(ふひょう) 日本の各地をはじめ世界中の温帯、熱帯に広く分布し、沼や池、水田などの水面に浮かず水草、ウキクサ科のウキクサ(Spirodela polyrrhiza)やコウキクサ(Lemma minor)の全草を用いる。 成分には酢酸カリウムや塩化カリウム、ヨウ素、臭…

仏手柑

○仏手柑(ぶっしゅかん) インド原産のミカン科の常緑低木ブッシュカン(Citrus medica)の果実を用いる。果実は先が5~10本に指状にわかれ、その特異な形のために仏手柑と呼ばれる。 ブッシュカンはシトロンの変種とされ、シトロンはマルブッシュカンと…

藤瘤

○藤瘤(ふじこぶ) 本州、四国、九州の山地に自生する日本特産のマメ科のつる性落葉低木フジ(Wisteria floribunda)の樹皮にできる瘤を用いる。中国の「藤」はシナフジ(W.sinensis)のことであり、別の植物である。 日本の民間療法ではフジの老木に生じる…

附子

○附子(ぶし) 北半球に広く分布するキンポウゲ科の多年草トリカブト属の子根を用いる。トリカブト属は毒草として世界的に知られ、古くから毒殺に用いられたり、アジアではアイヌ民族などで矢毒としても利用されていた。インドや中国では古代より薬用として…

茯苓

○茯苓(ぶくりょう) 日本、中国、北米に分布し、アカマツやクロマツなどの根に寄生するサルノコシカケ科のマツホド(Poria cocos)の菌核を用いる。菌核とは菌糸の塊で、不規則な塊状をなし、大小も様々である。中には重さ1kg以上で人の頭ぐらいの大きさ…

伏竜肝

○伏竜肝(ぶくりゅうかん) 中国華北地方の黄土で作ったカマドを長期間使用した後、カマドの底中央にある焼けた土塊を用いる。焦げて黒くなった部分は除く。日本では素焼きの土器を焼いたものや長年使った七輪を砕いたもので代用している。金匱要略にある黄…

覆盆子

○覆盆子(ふくぼんし) 中国や日本の四国や九州に分布しているバラ科の落葉低木ゴショイチゴ(Rubus chingii)などの未成熟な果実(偽果)を用いる。ゴショイチゴはキイチゴ属のひとつで、一説に果実の形がふせた盆に似ていることから覆盆子という名があると…

茯神

○茯神(ぶくしん) 木材腐朽菌の一種。サルノコシカケ家のマツホド(Poria cocos)の菌核、茯苓のうち、とくにマツの根を抱いたものを茯神という。中の松の根は茯神木という。茯神の表面に朱砂の細粉をまぶしたものを朱茯神という。 茯神には安神・利水の効…