漢方生薬辞典

約780種の生薬を五十音順に紹介。日本の漢方薬や伝統薬に配合されている和漢生薬、民間薬、ハーブなども紹介。

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あしたば

○あしたば(明日葉)

 関東、東海地方、紀伊半島などの温暖な海岸地帯に生えるセリ科の多年草アシタバ(Angelica keiskei)の葉を用いる。成長が早く、葉を摘んでも明日になるとまた葉がのび出すことからアシタバの名がある。春先の若葉は食用にでき、ゆでて浸し物、和え物にする。多少苦味が残るが、特有の香りがある。八丈島の島民が蔬菜として利用したのが始まりで、ハチジョウソウ(八丈草)とも呼ばれている。

 葉にはルテオリン配糖体やイソケルセチンのほか、各種のビタミンが含まれる。茎や葉を切ると黄色い汁が出るが、その主成分はカルコン類のキサントアンゲロール、4-ハイドロキシデリシンであり、抗菌、抗炎症、胃酸分泌抑制、血管拡張といった作用があると報告されている。近年、アシタバの抽出成分に糖尿病の合併症を防ぐ効果、神経成長因子や骨形成蛋白の産生増強物質が含まれていることが発表され、糖尿病や認知症骨粗しょう症への効果が検討されている。かつて痘瘡の治療に用いられていた。

 また乳牛の牧草にすると乳の出がよくなるといわれ、催乳・強精作用も伝えられている。最近では健康食品として生活習慣病、便秘、貧血などに用いられているほか、ダイエット効やセルライト解消などの効果も謳われている。