漢方生薬辞典

約780種の生薬を五十音順に紹介。日本の漢方薬や伝統薬に配合されている和漢生薬、民間薬、ハーブなども紹介。

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藕節

藕節(ぐうせつ)

 インド、中国、ペルシャ、オーストラリアに分布するスイレン科のハス(Nelumbo nucifera)の根茎の節部を用いる。ハスは部分によりいくつかの生薬に分けられ、葉は荷葉、花托は蓮房、雌しべは蓮鬚、果実は蓮実、種子は蓮肉、子葉は蓮子芯という。

 日本にも古代からハスは渡来していたが、鎌倉時代以降に食用品種が導入され、さらに明治時代に優れた中国系の食用バスが導入されてハスの栽培が盛んになった。ハスの根はレンコン(蓮根)であり、中国や東南アジア、日本などで食用にされている。中国では根茎を藕といい、節のところだけを藕節といって生薬に用いる。

 藕節にはタンニンやアスパラギンが含まれる。漢方では止血の作用があり、新鮮な新藕節には涼血・止血、炒った藕節炭には去痰・吐血の効能がある。一般には下血や血尿、喀血、鼻血、不正性器出血などに広く用いるが、炎症性のものには新鮮な藕節の汁のほうが効果がある。例えば鼻血が止まらないときには新鮮な汁を飲むと同時に鼻にたらす。しかし薬力は弱いので、一般には他の止血薬と配合して用いる。中国南部では止血以外にもハスの節やレンコンを咽の痛みや咳嗽などに用いている