漢方生薬辞典

約780種の生薬を五十音順に紹介。日本の漢方薬や伝統薬に配合されている和漢生薬、民間薬、ハーブなども紹介。

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馬勃

○馬勃(ばぼつ)

 中国各地に分布するキノコの一種ホコリタケ科の植物、脱皮馬勃(Lasiosphaera fenzlii)や大頽馬勃(Calvatia gigantea)<紫頽馬勃(C.lilacina)の子実体を用いる。

 日本に産するオニフスベ(L.nipponica)のように大きなまんじゅうの形をしており、脱皮馬勃や大頽馬勃は直径15~20cmである。紫頽馬勃は直径5~12cmの紫色の洋ゴマの形をしている。そのほか日本にも産するホコリタケ(Lycoperdon perlatum)なども同様に用いられている。

 脱皮馬勃の子実体にはロイシンチロシンエルゴステロール尿素などが含まれ、ホコリタケにはデヒドロアスコルビン酸、ビタミンC、ゲマンティンのグリコシドなどが含まれている。

 脱皮馬勃には抗菌・止血作用が報告されている。漢方では清熱解毒・止咳・利咽の効能があり、咽頭腫痛や嗄声、咳嗽、吐血、鼻血などに用いる。とくに口腔内の疾患に効果があり、咽頭炎などには粉末を吹きつける。また大頭瘟や丹毒、急性中耳炎、扁桃炎などに黄芩・板藍根などと配合する(普済消毒飲)。外傷や凍瘡には粉末を塗布する。