漢方生薬辞典

約780種の生薬を五十音順に紹介。日本の漢方薬や伝統薬に配合されている和漢生薬、民間薬、ハーブなども紹介。

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茉莉花

茉莉花(まつりか)

 アラビアからインドにかけてを原産とするモクセイ科の常緑低木マツリカ(Jasminumsambac)の花を用いる。熱帯性の植物で、フィリピンやインドネシアの国花としても知られている。

 マツリカは香料植物のジャスミンとして古くから有名であるが、ジャスミンというのは本来、ソケイ属植物の総称である。ソケイ属には花に芳香を持つものが多く、マツリカのほかにソケイ(J.officonale)もジャスミンとして知られている。

 午後から夕方に開花直前のふくらんだ蕾を花弁に傷つけないよう萼ごと摘みとり、広げて乾燥する。花からはジャスミン油が得られ、香油や香料、香水原料として用いられる。ジャスミンはウーロン茶や紅茶にマツリカの花で添香したものである。ジャスミン油の主成分はベンジルアセテートであり、リナロールやジャスミンなども含まれる。

 漢方では理気・鎮静の効能があり、下痢や腹痛に用いる。一般に茶剤として服用するが、あまり漢方処方には用いられていない。また結膜炎に花の煎液で洗眼すると効果があるといわれる。