漢方生薬辞典

約780種の生薬を五十音順に紹介。日本の漢方薬や伝統薬に配合されている和漢生薬、民間薬、ハーブなども紹介。

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唅士蟆

○唅士蟆(ごうしま)

 中国の寒い地方に生息するアカガエル科の中国林蛙(Rana chensinensis)、黒竜江林蛙(R.amurensis)の内臓を除いたものを乾燥して用いる。雌の輪卵管を乾燥したものを唅蟆油という。ちなみに唅蟆油は古代中国の八大珍味の一つとされている。

 中国林蛙や黒竜江林蛙は体長5cmくらいのトノサマガエルによく似たカエルである。唅士蟆というのは満州語であり、黒竜江林蛙は黒竜江省松花江一体の山林に生息している、比較的寒さに強いため雪唅とも呼ばれ、食用にも用いられる。

 中国林蛙にはステロールの一種であるラノールが含まれる。漢方では止咳・滋養の効能があり、虚労咳嗽に用いる。唅士蟆の薬材は長さ2cmほど折り重なった塊で、黄白色で脂肪のような光沢がある。大部分はタンパク質で、脂肪は4%前後にすぎず、水で戻すと10~15倍に膨張する。これを民間では強壮・強精薬として病後や産後、結核、神経衰弱などに用いている。

 日本でも江戸時代から戦前まで、アカガエルの生や乾燥したもの、丸薬(赤蛙丸)にしたものを小児の疳の虫の妙薬として街中で売り歩いていた姿がみられたという。

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