漢方生薬辞典

約780種の生薬を五十音順に紹介。日本の漢方薬や伝統薬に配合されている和漢生薬、民間薬、ハーブなども紹介。

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2014-01-01から1年間の記事一覧

白薇

○白薇(びゃくび) 日本の全土、中国、朝鮮半島などに自生するガガイモ科の多年草フナバラソウ(Cynachum atratum)の根を用いる。そのほか中国東北部に自生する蔓生白薇(C.versicolor)の根も用いる。 フナバラソウは黒紫色の花が咲き、裂けた果実の形が舟…

白檀

○白檀(びゃくだん) インドネシアやマレー半島を原産とするビャクダン科の常緑小高木ビャクダン(Santalum album)の心材を用いる。中国では一般に白檀香という。ビャクダンは半寄生植物で幼樹は他の植物の根に寄生するが、葉には葉緑素をもち、生長すると…

白前

○白前(びゃくぜん) 中国南部に分布するガガイモ科の植物、柳葉白前(Cynachum stauntonii)や花葉白前(C.glaucescens)の根と根茎を用いる。古くから同じガガイモ科のふらフナバラソウ(C.atratum)の根と混合されることも多かった。 成分にサポニンが含…

白豆蔲

○白豆蔲(びゃくずく) インド南西部を原産とする熱帯地方で栽培されているショウガ科の多年草カルダモン(Amommum cardamomum)の果実を用いる。カルダモンの薬材にはいくつかの種類があり、その基原についてもいくつかの説がある。 一般に市場で白豆蔲と呼…

白朮

○白朮(びゃくじゅつ) 日本の本州、四国、九州、朝鮮半島、中国の東北部に分布しているキク科の多年草オケラ(Atractylodes japonica)の根茎を用いる。中国ではオオバナオケラ(A.macrocephala)の根茎を白朮として用いている。このため日本産のオケラの根…

白芍

○白芍(びゃくしゃく) 中国北部原産のボタン科の多年草シャクヤク(Paeonia lactiflora)の根の外皮を除いたものを白芍といい、外皮をつけたままのものを赤芍という。日本漢方では赤芍を用いないため、芍薬といえばこの白芍のことをいう。 白芍はおもに4年…

白芷

○白芷(びゃくし) 本州の近畿・中国地方、九州、朝鮮半島、中国東北部などに分布するセリ科の多年草ヨロイグサ(Angelica dafurica)などの根を用いる。中国東北部ではこのヨロイグサの根を独活として用いるところもある。 中国ではヨロイグサとは別に杭白…

百合

○百合(びゃくごう) 日本の各地や朝鮮半島、中国などに分布するユリ科の種々の植物の鱗茎を用いる。日本ではヤマユリ(Lilium auratum)やオニユリ(L.lancifolium)、ササユリ(L.japonicum)の鱗茎、中国では百合(L.brownii)、細葉百合(L.pumilum)、…

白芨

○白芨(びゃくきゅう) 関東以西の西日本、朝鮮、中国、台湾などに分布するラン科の多年草シラン(Bletilla striata)の球形を用いる。日本には奈良時代に渡来したとされる。 紫蘭の名のとおり紅紫色の花が咲き、観賞にも栽培されているが、白い花のシロバナ…

白花蛇舌草

○白花蛇舌草(びゃくかじゃぜっそう) 本州から沖縄県、朝鮮半島、中国、熱帯アジアに分布するアカネ科の一年草フタバムグラ(Oldenlandia diffusa)の全草を用いる。田畑に生える雑草で、二枚の葉が対になっているためフタバムグラの名がある。中国の広東省…

白芥子

○白芥子(びゃくがいし) 中央アジア原産とされ、ヨーロッパや中国で栽培されているアブラナ科の一年草~越年草、シロガラシ(Brassica alba)の種子を用いる。種子の色が淡黄白色のため白芥子というが、単に芥子といえばカラシナ(B.juncea)の種子のことを…

蓖麻子

○蓖麻子(ひまし) 北部アメリカを原産とするトウダイグサ科の木質の草本トウゴマ(Ricinus communis)の種子を用いる。ヒマやカラエとも呼ばれ、日本では冬に枯れるので一年草とされるが、熱帯では多年にわたり生長を続けて草丈が6mを越えることがある。 …

蓽茇

○蓽茇(ひはつ) 東南アジアに分布するコショウ科のつる性常緑木本植物ヒハツ(piper longum)の未熟な果穂を用いる。ヒハツは長い房になったまま用いるのでナガコショウとも呼ばれている。 現在、カレー粉などの香辛料として現地の人しか用いていないが、ギ…

蓽澄茄

○蓽澄茄(ひっちょうか) ジャワ原産で東南アジア、インドなどに分布するコショウ科のつる性常緑木本植物ヒッチョウカ(Piper cubeba)の果実を用いる。これをクベバ実ともいう。そのほか中国南部、台湾、インドネシアなどの東南アジアに分布するクスノキ科…

砒石

○砒石(ひせき) ヒ素を含む生薬には雄黄、雌黄、砒石、砒霜、石譽などがある。砒素の「砒」とは天然に産する無水亜ヒ酸(三酸化ヒ素)の砒華鉱石、つまり砒石のことである。 しかし、現在では硫化物の鶏冠石やヒ化鉱物の石譽(硫砒鉄鉱:FeAsS)などを加工…

榧子

○榧子(ひし) 中国の揚子江以南に分布する常緑高木シナガヤ(Torreya grandis)の種子を用いる。日本では同属植物のカヤ(T.nucifera)を榧と書いているが、本当の榧は日本には自生していない。ただし日本や韓国ではカヤの種子を榧子の代用にしていたことも…

萆薢

○萆薢(ひかい) 日本の各地や中国大陸に分布するヤマノイモ科のつる性の多年草オニドコロ(Dioscorea tokoro)やタチドコロ(D.gracillima)などの根茎を用いる。そのほか中国では粉背署蕷、叉心署蕷、繊細署蕷などの根茎も用いている。 オニドコロやタチド…

繁縷

○繁縷(はんろう) 世界各地に広く分布するナデシコ科の越年草コハコベ(Stellaria media)の全草を用いる。一般にコハコベとミドリハコベ(S.neglecta)を合わせてハコベと称し、いずれも薬用にできる。春の七草の一つで若い茎や葉は食用とされる。またヒヨ…

板藍根

○板藍根(ばんらんこん) アブラナ科に属するホソバタイセイ(Isatis tinctoria)やタイセイ(I.indigotica)、キツネノマゴ科のリュウキュウアイ(Storobilanthes flaccidifolius)の根茎および根を用いる。これらの葉や枝葉は大青葉、精製された藍色の色素…

斑蝥

○斑蝥(はんみょう) 中国各地に分布するツチハンミヨウ科の昆虫、南方大斑蝥(Mylabris phalerata)やヨコジマハンミョウ(M.cihorii)の乾燥した全虫を用いる。 南方大斑蝥は体長1.5~2cmくらいの細長い昆虫で、背には黄色と黒の縞模様があり、大豆…

半辺蓮

○半辺蓮(はんぺんれん) 日本の各地、朝鮮半島、中国、東南アジアなどに分布するキキョウ科の多年草ミゾカクシ(Lobelia chinensis)の全草を用いる。中国では花が下方だけに広がるために半辺蓮と呼ばれ、日本では田んぼの畦道などで溝が隠れるほど繁殖する…

反鼻

○反鼻(はんび) クサリヘビ科マムシ属のマムシ(Agkistrodon halys)の内臓を除去した全体を用いる。マムシは体長50cm前後で、全体は褐色で黒褐色の円形の斑紋が少しずれて並び、頭は小さく三角形である。日本全土に生息する唯一の毒蛇で、水辺に近い草…

胖大海

○胖大海(はんたいかい) インドから東南アジアにかけての熱帯に分布するアオギリ科の落葉高木ハンタイカイ(Sterculia scaphigera)の種子を用いる。ベトナム、タイ、インドネシア、マレーシアなどで産するが、ベトナム産の品質が最もよいとされている。 乾…

蕃石榴

○蕃石榴(ばんせきりゅう) 熱帯アメリカ原産で、熱帯および亜熱帯の世界各地で栽培されているフトモモ科の常緑小高木バンジロウ(Psidium guajava)の果実や葉を用いる。生薬では未成熟の果実を番石榴乾といい、葉を番石榴葉という。 バンジロウは紀元前か…

半枝蓮

○半枝蓮(はんしれん) 中国の各地、台湾などに分布し、湿地に生えるシソ科の植物スクテラリア・バルバータ(Scutellaria barbata)の全草を用いる。コガネバナ(生薬名:黄芩)やタツナミソウと近縁植物である。中国の江蘇省地域の民間薬で、古い本草書には…

半夏

○半夏(はんげ) 日本各地、朝鮮半島、中国などに分布するサトイモ科の多年草カラスビャクシ(Pinellia ternata)の球茎を用いる。半夏の名は夏の半ばに花が咲く(そのころに採取する)ことに由来し、カラスビャクシの名は仏炎の形をビャクシに例えたもので…

蕃杏

○蕃杏(ばんきょう) 日本の海岸をはじめ、太平洋沿岸の各地の砂地に分布するツルナ科の多年草ツルナ(Tetragonia tetragonoides)の全草を用いる。ツルナの果実は海流に乗って分散するため、東南アジアやオーストラリア、南米などにも広く分布している。 茎…

馬蘭子

○馬蘭子(ばりんし) 中国の北部から東北部、朝鮮半島に分布するアヤメ科の多年草ネジアヤメ(Iris pallasii)の種子を用いる。神農本草経には蠡実、名医別録には茘実とある。根は馬蘭根、花は馬蘭花、葉は馬蘭葉といい、これらも薬用とする。花が小型のアヤ…

葉蘭

○葉蘭(はらん) 中国中南部の地方原産とするユリ科の常緑多年草ハラン(Aspidistra elatior)の根茎を用いる。古い時代に日本に渡来したとされているが、鹿児島県の黒島に自生地があり、ここが原産地とも考えられている。ハランはバレン、バラン、ヒトツバ…

馬明退

○馬明退(ばめいたい) カイコガ科のカイコ(Bombyx mori)の幼虫の脱皮した抜け殻を用いる。カイコは完全に家畜化された昆虫といわれ、人間が飼育しなければ絶滅するといわれている。カイコの祖先は桑畑の害虫であるクワコという説もあるが、はっきりしてい…