2012-11-01から1ヶ月間の記事一覧
○虎骨(ここつ) 大型哺乳度物であるネコ科のトラ(Panthera tigris)の骨を用いる。トラはアジアに広く分布しているが、中国東北地方にはシベリア虎とか満州虎と呼ばれている東北虎、華南地方には華南虎が生息している。 トラは体長約2m、全身は橙黄色で…
○五穀虫(ごこくちゅう) クロバエ科のオビキンバエ(Chrysomyia megacephala)などの幼虫を乾燥したものを用いる。オビキンバエは中国をはじめ東洋では普通にみられるハエで、腐肉や人糞、獣糞に集まって産卵する。本草綱目では蛆とある。かつて日本ではハ…
○蜈蚣(ごこう) 中国や日本の全土に分布する節足動物、オオムカデ科のトビズムカデ(Scolopendra subspinipes mutilans)などのムカデを乾燥した全虫を用いる。主産地は浙江・湖北・湖南省などであり、江蘇省のものは脚が赤く良品であるため、蘇浙江省とい…
○黒大豆 中国原産で世界各地で栽培されているマメ科の一年草ダイズ(Glycine max)の栽培品種であるクロマメの種子を用いる。普通、ダイズといえば黄大豆のことであるが、薬用には黒大豆が珍重されている。またクロマメの黒い種皮は黒大豆皮あるいは黒豆衣、…
○穀精草(こくせいそう) 本州以西、台湾、中国などに分布するホシクサ科の一年草オオホシクサ(Eriocaulon buergerianum)の花序をつけた花茎を用いる。湿地や水田に自生し、穀物を刈り取った後に生えることから穀精草といわれ、茎の先に小さな白い花が咲く…
○穀芽(こくが) イネ科のイネ(Oryza sativa)のもみをつけたままの種子を発芽させたものを穀芽という。イネの茎と葉は稲草、うるち米は粳米、もち米は糯米、もち米の根と根茎は糯稲根鬚と呼ばれ、役用にされている。これに対して発芽したオオムギを麦芽と…
○コカ葉(こかよう) 南米ペルーやボリビアのアンデス地方を原産とするコカノキ科の常緑低木コカノキ(Erythroxylum coca)の葉を用いる。現在、南米以外でもインドネシアのジャワ島で栽培されている。 アンデスのインディオたちは紀元前からコカ(Coca)の…
○五加皮(ごかひ) 中国の華中、華南、西南に産するウコギ科の落葉低木ウコギ(Acanthopanax gracilistylus)の根皮を用いる。ウコギとは五加皮の中国音によるものである。ウコギは日本各地の山野でも野生化しており、山村では垣根などに植栽されている。中…
○胡黄連(こおうれん) インドやチベットなどヒマラヤ地方の高山地帯に分布するゴマノハグサ科の多年草コオレン(Picrorrhiza kurrooa)の根茎を用いる。そのほか同属植物の西蔵胡黄連(P.scophulariaeflora)なども利用される。薬用としては地上部が枯れた…
○牛黄(ごおう) ウシ科の動物ウシ又はスイギュウの胆嚢や胆管の中にできた結石を用いる。ウシは新石器時代にはシリア・エジプトなどですでに家畜化されていた。日本でも古代から役用、食用に用いられた記録があるが、仏教の伝来とともに殺生が禁じられ食べ…
○香料 一般に芳香があり生活に役立つ物質を香料という。時代や習慣などにより、その定義は明らかではない。香料のことを英語でパフュームというが、この語源は「薫ずる」という意味で、古くは宗教儀式の際に樹木を火で焚いたのが香料の起源と考えられている。…
○藁本(こうほん) 中国中南部に分布するセリ科の多年草コウホン(Ligusticum sinense)や中国北部に分布する同属植物のムレイセンキュウ(L.jeholense)などの根および根茎を用いる。 日本ではセリ科のヤブニンジン(Osmorhiza aristata)や中国原産のセリ…
○厚朴(こうぼく) 中国の南部を原産とし中国の各地に分布しているモクレン科の落葉高木カラホウ(Magnolia officinalis)や凹葉厚朴(M.offcinalos var.biloba)の幹や枝の樹皮を用いる。日本ではホウノキ(M.obovata)が利用されている。 中国産では根に近…
○粳米(こうべい) インド北部から中国の雲南省を原産とし、アジアおよび世界各地で食用として広く栽培されているイネ科のイネ(Oryza sativa)の穀粒(種仁)、すなわちうるち米を玄米にした状態で用いる。生薬名では、もち米の穀粒を粳米、両者とも全草を…
○香附子(こうぶし) 全世界の温帯に分布し、日本でも関東以西に自生するカヤツリグサ科の多年草ハマスゲ(Cyperus rotundus)の根茎を用いる。おもに砂浜や川原の砂地に生えるが、畑や公園の雑草として嫌われている。 中国の植物名は莎草といい、生薬では地…
○猴棗(こうそう) インド、マレーシア、中国南部に生息するサル科のアカゲザル(Macaca mulatta)の内臓結石を用いる。アカゲザルはベンガルザルとも呼ばれ、ニホンザルに似るが尾が長く、灰茶色の体毛で覆われている。森林に群居し、野草や木の実、昆虫な…
○葒草(こうそう) アジア大陸の温暖な地域を原産とするタデ科の一年草オオケタデ(Polygonum orientale)の全草を用いる。生薬では花序を葒草花といい、果実を水葒草子という。 オオケタデは日本にも古くから伝来し、観賞用に花壇や庭に植えられたが、今日…
○紅豆蔲(こうずく) 中国南部や台湾、熱帯アジアに分布するショウガ科の多年草ナンキョウソウ(Aloinia galanga)の果実を用いる。根茎は大良姜と呼ばれ、香辛料としても用いられている。 開宝本草に紅豆蔲は高良姜の子とあるのは誤りである。広西省の一部…
○香辛料 香辛料は植物の種子や果実、葉、根、樹皮などを乾燥し、その芳香や風味、絡み、色合いを飲食物に付加する目的のものである。香辛料の基本的な作用として矯臭作用、賦香作用、辛味作用、着色作用があり、同時に防腐作用もある。すなわち肉や魚などの…
○降真香(こうしんこう) 現在、降真香の基原植物にはマメ科のダルベルギア・オドリフェラ(Dallbergia odorifera)の根の心材をあてる場合と、ミカン科のオオバゲッケイ(Acronychia oedunculata)の心材や根をあてる場合とがある。 降真檀は中国の広東省の…
○紅参(こうじん) ウコギ科多年草オタネニンジン(Panax ginseng)の根を蒸した後に乾燥したものを用いる。せいろで2~4時間蒸した後に熱風乾燥すれば、赤褐色で半透明の人参となるため、これを紅参という。 日本で生産される人参はほとんどが紅参に加工…