漢方生薬辞典

約780種の生薬を五十音順に紹介。日本の漢方薬や伝統薬に配合されている和漢生薬、民間薬、ハーブなども紹介。

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2012-06-01から1ヶ月間の記事一覧

枳殻

○枳殻(きこく) 日本ではミカン科のダイダイ(Citrus aurantium)やナツミカン(C.natsudaidai)などの未成熟の果実を枳実といい、それよりもう少し大きくなった成熟間近の果実を枳殻という。中国産の枳殻や枳実はおもにミカン科のカラタチ(Poncirus trifo…

枳ぐ子

○枳ぐ子(きぐし) 日本全土、朝鮮半島、中国に分布するクロウメモドキ科の落葉高木ケンポナシ(Hovenia dulcis)の成熟した果実あるいは種子を用いる。一般に果柄を伴った果実を用いる。 秋になるといくつかの小さな果実が曲がった多肉質の果柄をつけたまま…

菊花

○菊花(きくか) 中国を原産とするキク科植物のキク(Chrysanthemum morifolium)の頭状花を用いる。日本漢方では、単に菊花といえば野菊花のことをいう。中国では2000年以上前からキクを薬用として栽培していた記録がある。 日本にも古くから観賞用とし…

桔梗

○桔梗(ききょう) 日本、抽選半島、中国などにかけて分布するキキョウ科の多年草キキョウ(Platycodon grandiflorum)の根を用いる。日本各地に自生しているが、生薬のほとんどは中国などから輸入している。 万葉時代にはアサガオと呼ばれ、秋の七草にある…

旱蓮草

○旱蓮草(かんれんそう) 本州以南、世界各地の温暖な地域に分布するキク科の一年草タカサブロウ(Eclipta prosrata)の地上部全草を用いる。中国産では地方によってはオトギリソウ科のトモエソウ(Hypericum ascyron)やキク科のハマグルマ(Wedelia chinen…

漢防已

○漢防已(かんぼうい) 従来、防已は漢防已と木防已とに区別されてきたが、いずれの基原植物に関しても日本と中国では異なっている。ただし今日の臨床では木防已はほとんど用いられず、漢防已のみを防已として用いている。 漢防已として日本ではツヅラフジ科…

款冬花

○款冬花(かんとうか) 地中海の沿岸からインド、中国に分布しているキク科の多年草フキタンポポ(Tussilago farfara)の花蕾を用いる。日本には自生しておらず、明治中期に薬用として伝えられた。かつて日本ではフキを款冬と称していたが、フキの中国名は蜂…

寒天

○寒天 紅藻類テングサ科の海藻を煮て溶かして固めたものをところてんといい、さらに凍結乾燥したものを寒天という。一般にテングサといえばGelidium amansii、ヒラクサ(G.subcostatum)をいうが、そのほかオバクサ(Pterocladia)、オゴノリ(Gracilaria ve…

甘草

○甘草(かんぞう) ウラル地方、シベリア、モンゴル、中国北部に分布するマメ科の多年草ウラルカンゾウ(東北甘草・Glycyrrhiza uralensis)、スペインカンゾウ(西北甘草・G.glabra)、新疆甘草(G.inflata)などの根及び匍匐茎を用いる。日本薬局方におい…

寒水石

○寒水石(かんすいせき) 古くは芒硝の天然結晶体を寒水石といっていたが、現在、市場に出ているものには2種類あり、中国北部では紅石膏、中国南部では方解石が一般的である。日本の正倉院御物にある寒水石は石灰芒硝という説もある。 方解石の主成分は炭酸…

甘遂

○甘遂(かんすい) 中国の陜西・河南・山西・甘粛省などに分布するトウダイグサ科の多年草カンスイ(Euphorbia kansui)の根を用いる。茎葉に傷をつけると白色の乳液が出る。この汁には毒性があり、かぶれることがあるので注意が必要である。 属名のユーホル…

甘松

○甘松(かんしょう) オミナエシ科の多年草、ナルドスタキスの根及び根茎を用いる。ヒマラヤから中国西南部の高山帯に自生するナルドスタキス(Nardostachys chinensis)は、四川省の松州に産し、甘みがあるため甘松の名がある。一方、ネパールに分布するナ…

乾生姜

○乾生姜(かんしょうきょう) 熱帯アジア原産のショウガ科のショウガ(Zingiber officinale)の根茎の周皮を除き、そのままあるいは石灰をまぶして乾燥したものを日本では生姜あるいは乾生姜という。これは日本薬局方のショウキョウに相当する。 ショウガは…

貫衆

○貫衆(かんじゅう) 貫衆はオシダ科やゼンマイ科のシダ植物の婚礼を用いる。中国産の基原植物はおもにオシダ科のオシダ(Dryopteris crassirhizoma)7ミヤマシケシダ(Althyrium pycnosorum)、クサソテツ(Matteuccia struthiopteris)であるが、ゼンマイ…

乾漆

○乾漆(かんしつ) ヒマラヤから中国にかけての温暖な地域に分布し、日本に奈良時代以前に渡来したウルシ科の落葉高木ウルシ(Rhus verniciflya)の樹脂を加工したものである。 生の樹脂を生漆という。樹脂を乾燥すると表面は茶褐色でざらざらした塊状になる…

乾地黄

○乾地黄(かんじおう) 中国原産のゴマノハグサ科の多年草ジオウ(Rehmannia glutinosa)の根を用いる。ジオウの根を採取した後に日干し、あるいは体温で加熱して乾燥したものが乾地黄であり、日本で地黄というば乾地黄のことをいう。これは中国での生地黄(…

乾姜

○乾姜(かんきょう) 熱帯アジア原産のショウガ科の多年草ショウガ(Zingiber officinale)の根茎を乾燥したものを用いる。ただし日本では生のショウガを乾燥しただけのものは生姜(別名:乾生姜)という。日本市場でいう乾姜とはヒネショウガの皮を剥ぎ、蒸…

川ぢしゃ

○川ぢしゃ 本州以内をはじめとして東アジアに広く分布するゴマノハグサ科の越年草カワヂシャ(Veronica undulata)の全草を用いる。中国では同属のオオカワヂシャの全草を水苦蕒という。川岸や溝などに生え、若葉は食べられる。チシャというのはレタスのこと…

栝楼仁

○栝楼仁(かろにん) 中国産はウリ科のトウカラスウリ、日本産はキカラスウリの種子を用いる。キカラスウリは日本各地に自生しており国内で自給も可能いわれているが、近年はほとんどが輸入品である。トウカラスウリの根は栝楼根という。日本では果実のうち…

栝楼根

○栝楼根(かろこん) 中国から朝鮮半島、インドシナに分布するウリ科のつる性多年草、トウカラスウリ(Trichosanthes kirilowill)、及び日本の北海道から沖縄県に分布するキカラスウリ(T.kirilowill var.japonica)の根を用いる。すなわち日本産はキカラス…

瓦楞子

○瓦楞子(がりょうし) アカガイ科の貝の貝殻を用いる。肉も蚶と称して薬用に用いる。大きさは殻長4~8cmとさまざまであるが、いずれも心臓形をしており、殻頂から放射状に凹凸がある。色は白の地に褐色の殻皮で覆われている。 主成分は炭酸カルシウムで…

荷葉

○荷葉(かよう) マレー半島あるいはインドが原産といわれ、熱帯アジア、インド、中国、オーストにリアに分布する多年生の水草、スイレン科のハス(Nelumbo nucifera)の葉を用いる。ハスはさまざまな部分が薬用にされ、根の節は藕節、花托は蓮房、雄しべは…

ガラナ

○ガラナ アマゾン川流域を原産とするムクロジ科のつる性植物ガラナ(Paullinia cupana)の種子を用いる。ブラジルでは果実を採取したあと積み上げて発酵させ、種子を取り出す。種子は径約1cmの褐色の球形で、表面に光沢がある。この種子を砕いて粉にし、…