漢方生薬辞典

約780種の生薬を五十音順に紹介。日本の漢方薬や伝統薬に配合されている和漢生薬、民間薬、ハーブなども紹介。

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2012-08-01から1ヶ月間の記事一覧

荊芥

○荊芥(けいがい) 中国北部原産で中国、朝鮮半島に分布し、栽培されるシソ科の一年草ケイガイ(Schizonepeta tenuifolia)の花穂あるいは地上部を用いる。ケイガイはアリタソウとも呼ばれているが、これとは別にアカザ科のアリタソウという植物もあり、この…

薫陸香

○薫陸香(くんろくこう) 薫陸香の名は「名医別録」に収載されているが、本草綱目では乳香と薫陸香は同じものとして扱われている。現在、中国では一般に薫陸香は乳香の別名とされている。しかし、乳香はカンラン科の植物の樹脂であり、薫陸香はインドの乾燥…

黒焼き

○黒焼き 日本の伝統的な修治法のひとつで、空気を絶った状態で生薬を加熱し、黒色の粉末にしたものをいう。黒焼きは室町時代に中国から伝えられた加工法であるが、江戸時代に独自に発展し、漢方だけでなく民間療法として多く用いられた。 一般に生薬を素焼き…

黒文字

○黒文字(くろもじ) 北海道の渡島半島、本州、四国、九州のほか、中国大陸などに分布するクスノキ科の落葉低木クロモジ(Lindera umbellata)の枝葉や根皮を用いる。クロモジの名は樹皮にある黒い斑点を文字にみたてたものである。 材には芳香があり、噛む…

苦楝皮

○苦楝皮(くれんぴ) 西南アジア原産と考えられ、日本では伊豆半島以南、四国、九州に野生状態で生育しているセンダン科の落葉高木センダン(Melia azedarach)の樹皮を用いる。 分類に諸説があるがセンダンを一般に楝樹といい、タイワンセンダンを苦楝、ト…

クラーレ

○クラーレ 南アメリカ大陸の熱帯低地、アマゾン川やオリノコ川流域などで原住民が矢毒として用いていた黒褐色の植物性毒物のことをいう。各地域で毒物の貯蔵容器が異なるため、その容器によりアマゾン川流域の竹筒クラーレ(tubo-curare)、オリノコ川流域の…

瞿麦

○瞿麦(くばく) 本州北部、北海道根アジア・ヨーロッパの温帯に分布するナデシコ科の多年草カワラナデシコ(Dianthus superbus)及び中国原産のセキチク(D.chinensis)の全草を用いる。 ナデシコは本州中部以南のカワラナデシコと中部以北のエゾカワラナデ…

熊柳

○熊柳(くまやなぎ) 日本全土の山野に自生するクロウメモドキ科のつる性落葉低木クマヤナギ(Berchemia racemosa)の葉や茎を用いる。福島県の山間部では、古くからこのつるを乾かして利尿剤として用いていた。有効成分は不詳である。 日本固有の生薬であり…

隈笹

○隈笹(くまざさ) 日本に分布するイネ科のチシマザサ(Sasa kurilensis)などのササの葉を用いる。属名にSasa属という学名がつけられているように、ササは日本の温帯林に特徴的な植物である。ササはタケ類の小型化したもので、寒冷な地域に適応したものとさ…

狗脊

○狗脊(くせき) 奄美諸島以南、台湾、中国南部、東南アジアなどに分布するシダ植物タカワラビ科のタカワラビ(Cibotium barometz)の根茎を用いる。秋から冬にかけ、地上部が枯れたときにこの根を採取する。長く這った根茎の形が犬の脊骨に似ているため狗脊…

苦参

○苦参(くじん) 日本各地、朝鮮半島、中国、シベリアなどに分布するマメ科の多年草クララ(Sophora flacescens)の根を用いる。苦参という名は苦い根という意味で、和名のクララも苦いためにクラクラとすることに由来する。 成分にはアルカロイドのマトリン…

枸櫞皮

○枸櫞皮(くえんひ) 日本ではミカン科の常緑果樹レモン(Citrus limon)の成熟果実の皮を枸櫞皮という。ところで中国の植物名で枸櫞というのはシトロン(マルブッシュカン:C.medica)のことで、その生薬名は香櫞という。レモンはインド北東部原産とされ、…

枸杞葉

○枸杞葉(くこよう) ナス科の落葉小低木クコおよびナガバクコの柔らかい葉や茎を用いる。果実は枸杞子、根は地骨皮という。クコの若葉は和え物にしたり、ご飯に炊き込んで枸杞飯などにも利用できる。 仙人の薬といわれる地仙丹とは、春のクコの葉「天精草」…

枸杞子

○枸杞子(くこし) 日本から朝鮮、中国、台湾、マレー半島に分布するナス科の落葉小高木クコ(Lycium chinense)、およびナガバクコ(L.barbarum)の成熟した果実を用いる。クコの根皮は地骨皮といい、葉は枸杞葉という。 神農本草経の上品にも枸杞の名があ…

藕節

○藕節(ぐうせつ) インド、中国、ペルシャ、オーストラリアに分布するスイレン科のハス(Nelumbo nucifera)の根茎の節部を用いる。ハスは部分によりいくつかの生薬に分けられ、葉は荷葉、花托は蓮房、雌しべは蓮鬚、果実は蓮実、種子は蓮肉、子葉は蓮子芯…

キンマ

○キンマ マレーシア地域を原産とするコショウ科の常緑つる性植物キンマ(Piper betle)の葉を用いる。中国では果穂を蒟醤、葉を蒟醤葉という。現在ではインド、アフリカ、中国南部、台湾などでも栽培されている。 葉には香りがあり、刺激的な味がする。東南…

金沸草

○金沸草(きんふつそう) 日本の各地、朝鮮半島、中国に広く分布するキク科の多年草オグルマ(Inula japonica)、および同属植物の全草を用いる。中国では地上部を用いる。また頭花の部分だけを旋覆花という。よく似た同属植物のオオグルマ(I.helenium)の…

金蝉花

○金蝉花(きんぜんか) 金蝉花とはいわゆるセミタケ(Cordyceps sobolifera)のことである。セミの幼虫とそれに寄生したバッカクキン科の真菌であるセミタケの子実体とを合わせたものを金蝉花という。 セミタケの属名を冬虫夏草属といい、同属のフユムシナツ…

銀柴胡

○銀柴胡(ぎんさいこ) 中国の陝西・甘粛・遼寧省などの乾燥地域に分布するナデシコ科の多年草フタマタハコベ(Stellaria dichotoma)、またはその近縁植物の根を用いる。銀柴胡とは銀州(陝西省神木県)に産する柴胡という意味であるが、柴胡はセリ科の植物…

金銀花

○金銀花(きんぎんか) 日本、朝鮮半島、中国に分布するスイカズラ科の常緑つる性植物スイカズラ(Lonicera japonica)の花蕾を用いる。スイカズラの名は口に含むと蜜のよい香りがして甘い、あるいは花弁の形が子供が蜜を吸う口の様子に似ていることに由来す…

金橘

○金橘(きんきつ) 中国原産のミカン科の常緑低木キンカン(Fortunella japonica)の果実を用いる。栽培されているキンカンにはいくつかの種類があり、普通キンカンと呼んでいるのはナガキンカンである。一説によると14世紀ごろにマルキンカンが、江戸時代…

金果欖

○金果欖(きんからん) 中国の広西・広東省からベトナムにかけて分布するツヅラフジ科のつる性植物キンラン(Tinospora capillipes)、または同属植物の青牛胆の塊根を用いる。塊根が球形で胆嚢に似ているため金果欖を金牛胆と地胆ともいい、また地方によっ…