漢方生薬辞典

約780種の生薬を五十音順に紹介。日本の漢方薬や伝統薬に配合されている和漢生薬、民間薬、ハーブなども紹介。

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金橘

○金橘(きんきつ)

 中国原産のミカン科の常緑低木キンカン(Fortunella japonica)の果実を用いる。栽培されているキンカンにはいくつかの種類があり、普通キンカンと呼んでいるのはナガキンカンである。一説によると14世紀ごろにマルキンカンが、江戸時代前期にナガキンカンが日本に渡来したといわれる。今日では宮崎県、和歌山県鹿児島県高知県などで生産されている。

 果実は晩秋から冬にかけて橙黄色に熟し、直径2cmくらいの球形または楕円形で、果皮には芳香があり、甘味があって皮ごと生食できる。

 果皮にはビタミンCのほか、ガラクタン、ペントザン、フラボノイド配糖体のホルツネリンが含まれる。漢方では理気・止嘔・解酒毒の効能があり、二日酔いや消化不良に用いる。日本ではキンカンは風邪や百日咳のときの咳止めの民間薬として有名で、氷砂糖と一緒に煎じて服用する。また焼酎に漬けたキンカン酒は疲労回復に用いる。