漢方生薬辞典

約780種の生薬を五十音順に紹介。日本の漢方薬や伝統薬に配合されている和漢生薬、民間薬、ハーブなども紹介。

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斑蝥

○斑蝥(はんみょう)

 中国各地に分布するツチハンミヨウ科の昆虫、南方大斑蝥(Mylabris phalerata)やヨコジマハンミョウ(M.cihorii)の乾燥した全虫を用いる。

 南方大斑蝥は体長1.5~2cmくらいの細長い昆虫で、背には黄色と黒の縞模様があり、大豆やナスなどの葉や花を食べる害虫としても知られている。ヨコジマハンミョウの外形は南方大斑蝥とよく似ているが、体長は1~1.5cmくらいと小さい。日本でミチオシエともいわれるハンミョウ(ハンミョウ科)とは別の科の昆虫であり、ツチハンミョウ科のマメハンミョウ(Epicauta gorhami)に近い昆虫である。

 かつて日本ではミチオシエを和斑蝥と称し、斑蝥の代用として用いられたこともある。しかし和斑蝥には、斑蝥などツチハンミョウ科の昆虫に含まれているカンタリジンが含まれていない。カンタリジンはツチハンミョウ科の昆虫が外敵から身を守るために分泌する刺激性の物質で、皮膚に付着すると炎症を起こし、水疱ができる。

 カンタリジンの薬理作用として発疱作用や抗腫瘍作用が知られ、内服すると利尿作用があり、また尿道を刺激するため催淫剤としても用いられた。漢方では攻毒・逐瘀の効能があり、瘰癧(頸部リンパ腺腫)や狂犬病、堕胎などに用いた。

 近年、中国では外用薬としてリウマチや神経痛、顔面神経麻痺、脱毛症に、内服薬として肝臓癌の治療に試みられている。しかし、刺激発疱剤としては毒性が強すぎ、用いる機会も少ないため日本薬局方から削除された。なおツチハンミョウ科の昆虫生薬として芫青、葛上亭長(マメハンミョウ)、地胆(ヒメツチハンミョウ)などがある。

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