漢方生薬辞典

約780種の生薬を五十音順に紹介。日本の漢方薬や伝統薬に配合されている和漢生薬、民間薬、ハーブなども紹介。

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2012-04-01から1ヶ月間の記事一覧

海竜

○海竜 中国の南海の沿岸に生息するヨウジウオ科の魚トゲヨウジ(Syngnathoides biaculeatus)などを用いる。ヨウジウオは日本でも北海道以南に分布し、内湾の海藻の繁茂したところに生息している。ヨウジウオはタツノオトシゴ(海馬)と同じ科に属するが、タ…

艾葉

○艾葉(がいよう) 日本各地に自生キク科の多年草ヨモギ(Aremisia princeps)またはオオヨモギ(A.montana)の葉を用いる。ただし一般の市場品としては全草も出回っている。ヨモギ属の種類は多く、中国の基原植物にはヨモギと近縁の艾(A.argyi)や野艾(A.…

海浮石

○海浮石(かいふせき) 海浮石には好物と動物の2種類あり、火山の噴火によってできた軽石(浮石)と腔腸動物であるサンゴの仲間、多孔珊瑚石といわれる脊突苔虫や瘤苔虫の骨格(石花)を用いることがある。中国北部ではおもに珊瑚の石花を用い、日本や中国…

海風藤

○海風藤(かいふうとう) 関東地方以西、琉球諸島、台湾、朝鮮半島に分布するコショウ科の常緑つる性植物フウトウカズラ(Piper kadsura)のつる性の茎を用いる。風藤という中国の生薬名が日本の植物名になっている。よく似たコショウ科の植物にナントウゴシ…

薤白

○薤白(がいはく) 中国が原産で、古くから日本に渡来したユリ科のラッキョウ(Allium valeri)の鱗形、つまり食用とする部分を乾燥したものです。ラッキョウは辣薤という漢名に由来するといわれ、英語でもRakkyoという。また日本の市場ではエシャロットとし…

海馬

○海馬(かいば) 中国南部の沿岸に生息するヨウジウオ科のウミウマ属の魚、いわゆるタツノオトシゴを海馬という。別名水馬・竜落子などともいう。この仲間のヨウジウオも海竜として薬用に用いる。 タツノオトシゴにはいくつかの種類があり、生薬の海馬も区別…

艾納香

○艾納香(がいのうこう) 中国南部から東南アジアに欠けて分布するキク科のタカサゴギク(Blumea balsamifera)の葉および若枝を用いる。タカサゴギクの茎はやや木質化しており、葉を揉み砕くと竜脳の匂いがする。葉にはl-ボルネオールを主成分とする精油…

海人草

○海人草(かいにんそう) 熱帯から亜熱帯海域の近海に広く分布する紅藻類のフジマツモ科マクリ(Digenea simplex)の全藻を用いる。日本では紀伊半島から九州にかけての暖海域、特に南西諸島に多く自生する。高さは10~25cmくらいで次々の分岐したヒモ…

海桐皮

○海桐皮(かいとうひ) インド原産で沖縄県や中国南部、東南アジア、太平洋諸島などで広く植栽されているマメ科の落葉高木デイゴ(Erythrina variengata)の樹皮を用いる。デイゴという名は中国名の梯枯に由来する。幹や枝に太いトゲがあるため刺桐の名があ…

海蜇

○海蜇(かいてつ) クラゲのひとつ。ビゼンクラゲ科のビゼンクラゲ(Rhopilema escukenta)を用いる。ビゼンクラゲ(備前水母)は、かつて瀬戸内海の児嶋湾に多く産したため、備前の名があるが、現在ではほとんど姿が見られない。 ビゼンクラゲは古くから食…

海藻

○海藻 温帯から熱帯にかけて海に広く分布している海藻ヒバマタ科に属するホンダワラ(Sargassum fulvellum)などを用いる。漢方で海藻といえば、この褐藻のホンダワラ類を指し、全藻を用いる。ホンダワラ類は海藻の中で最も進化したものといわれ、日本沿岸に…

芥子

○芥子(がいし) アブラナ科の越年草カラシナ(Brassica juncea)の種子を芥子という。原産地の定説はないが、中央アジアからはじまり、地中海や中国で交雑されたと考えられている。カラシ(マスタード)の基減植物はいずれもアブラナ科であるが、種子の色か…

海松子

○海松子(かいしょうし) 本州や四国の深山、朝鮮半島、中国東北部に自生するマツ科の常緑高木チョウセンゴヨウ(Pinus koraiensis)の種子を用いる。ゴヨウマツと同じ五葉の松で葉が5本ずつ束生する。日本では日本アルプスや上高地付近、四国の山地に自生…

海蛤殻

○海蛤殻(かいごうかく) マルスダレイガイ科の二枚貝オキシジミ(Cyclina sinensis)などの貝殻を用いる。同科のハマグリ(Meretrix meretrix)の貝殻は本来、文蛤というが、海蛤殻としても使用されている。オキシジミは全体の形が円形に近く、殻長と高さが…

海狗腎

○海狗腎(かいくじん) アシカ科のオットセイ(Callorhinus ursinus)もしくはアザラシ科のゴマフアザラシ(Phoca vitulina)の雄の陰茎と睾丸を乾燥したものを用いる。オットセイやゴマフアザラシは、北太平洋北部、ベーリング海、オホークツ海に分布し、冬…

海金沙

○海金沙(かいきんしゃ) 関東以西、朝鮮半島、中国、インドシナ半島に分布するフサシダ科(カニクサ科)のつる状シダ植物カニクサ(Lygodium japonicum)の胞子を用いる。カニクサの名は子供が蟹を釣るのに用いたことに由来する。全草の生薬名は海金沙草あ…

塊角

○塊角(かいかく) マメ科に属する落葉高木エンジュ(Sophora japonica)の成熟した果実を用いる。エンジュは中国では尊貴の樹といわれるが、日本でも「延寿」に通じるめでたい木とされている。公害に強いため街路樹として好んで植栽されている。 果実はサヤ…

塊花

○塊花(かいか) 中国で日本でも庭木、街路樹などに植栽されているマメ科の落葉高木エンジュ(Sophora japonica)の花および花蕾を用いる。日本ではおもに花蕾を塊花として用いるが、中国では花は塊花、蕾は塊米あるいは塊花米と呼んで区別して用いている。…

瓦韋

○瓦韋(がい) 日本各地、朝鮮半島、中国などに分布する常緑シダ植物ウラボシ科のノキシノブ(Lepisorus thunbergianus)の全草を用いる。屋根の軒先などによく見かけ、土や水がなくても耐え忍んでいるためノキシノブ(軒忍)の名があるが、やや日陰の樹皮や…

遠志

○遠志(おんじ) 朝鮮半島、中国北部、シベリアに分布するヒメハギ科の多年草イトヒメハギ(Polygala tenuifolia)の根を用いる。李時珍は「志を強くする」作用があることが遠志の名の由来であるとしている。和名は糸姫萩と書き、日本に自生するとヒメハギに…