漢方生薬辞典

約780種の生薬を五十音順に紹介。日本の漢方薬や伝統薬に配合されている和漢生薬、民間薬、ハーブなども紹介。

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2013-06-01から1ヶ月間の記事一覧

水菖蒲

○水菖蒲(すいしょうぶ) 日本をはじめ中国、東アジア、インドに分布し、池や沼などの水辺や水中に自生するサトイモ科の多年草ショウブ(Acorus calamus)の根茎を用いる。日本では菖蒲根という。 同じサトイモ科でよく似た植物にセキショウがあり、生薬名を…

水銀

○水銀(すいぎん) 常温で液体金属の水銀(Hg)を用いる。おもに天然の赤い辰砂鉱(HgS)を煉製するが、一部は天然水銀からとるものもある。古くから知られた金属のひとつであり、汞とは水銀のことを表す。水銀化合物の朱砂、霊砂、軽粉なども漢方では薬用に…

水牛角

○水牛角(すいぎゅうかく) 中国南部、東南アジアなどで飼育されているウシ科のスイギュウ(Bubalus bubalis)の角を用いる。黒褐色の湾曲した中空の角で、基部は方形~三角形になっている。 成分は犀角とほぼ同じであり、水牛角にも強心作用、血液凝固時間…

蕤核

○蕤核(ずいかく) 中国の内モンゴル自治区、山西・甘粛・河南省などに分布するバラ科の落葉低木、プリンセピア・ウニフローラ(Prinsepia uniflora)の成熟した果実の種子(核果)を用いる。 7~8月頃に直径1~1.5cmくらいの球形の果実がなり、黒く…

○酢(す) 米、麦、高梁などの穀物や酒などを醸造して得られる酢酸を含む酸性の液体、酢のことである。醸造酢の作り方は、穀物などのデンプンや糖分原料を糖化し、アルコール発酵させた後、酢酸菌によって酢酸発酵させて作るものである。 酢は酸拝した酒が起…

秦皮

○秦皮(しんぴ) 日本の本州中部以北に自生するモクセイ科の落葉高木トネリコ(Fraxinus japonica)などの樹皮を用いる。中国ではオオトネリコ(F.rhynchophylla)やヒメトネリコ(F.bungeana)などの樹皮を用いる。 これらの幹や皮にイボタロウムシが白色の…

人尿

○人尿(じんにょう) 健康人の小便の中間尿を用いる。とくに10歳以下の男子の小便を童便といい、良品とされている。また妊娠2~3ヶ月の健康な妊婦の尿を妊娠尿として用いることもある。 用法は新鮮な尿をそのまま1~2杯飲むか、薬湯に混ぜて飲む。成分…

沈丁花

○沈丁花(じんちょうげ) 中国原産のジンチョウゲ科の常緑低木ジンチョウゲ(Daphne odora)の花を用いる。中国では宋の時代から栽培されているが、今日では栽培種ばかりで、自生種は発見されない。日本に渡来した年代は不明であるが、室町時代にはすでに栽…

人中白

○人中白(じんちゅうはく) 人尿が自然に沈殿して固まってものを人中白という。 便器などの内側に長年に渡って凝固したものを削り取って夾雑物を除いて乾燥する。尿を放置しておくと尿中のpHが酸性からアルカリ性へと変化し、酸性のときには尿酸、尿酸塩、…

人中黄

○人中黄(じんちゅうおう) 甘草の粉末を竹の筒に入れ、人の便壺の中に浸してできたものを用いる。荒く挽いた甘草の粉末を節のある竹筒に入れ、もう一方を布で堅く塞ぎ、これを人糞の溜まった便器の澄んだ液の中に冬季の2~3ヶ月間漬け、取り出し後、臭い…

真珠

○真珠(しんじゅ) ウグイスガイ科やイシガイ科などの貝の体内にできる球体を真珠あるいは珍珠といい、その貝殻の真珠層を珍珠母という。日本ではウグイスガイ科のアコヤガイ(Pinctada fucata martensii)が養殖真珠として有名であるが、真珠は海水産のシロ…

鍼砂

○鍼砂(しんしゃ) 鋼鍼を製造するときに削り落とされた鉄屑を用いる。主成分は鉄であり、酸化鉄や炭素、リン、ケイ素、硫黄なども含まれる。鉄は一般に吸収されにくいが、一部は胃酸の作用で塩化第一鉄となり、小腸上部で吸収される。 西洋で鉄が貧血の治療…

沈香

○沈香(じんこう) 台湾や中国南部、東南アジアに分布するジンチョウゲ科の常緑高木ジンコウ(Aquilaria agallocha)の樹脂を含んだ木材を用いる。古来より、有名な香木として知られ、良質のものは比重が大きく水に沈むために沈香あるいは沈水木という名があ…

秦艽

○秦艽(じんぎょう) 中国の東北部から内蒙古、西北部に分布するリンドウ科の多年草ジンギョウ(Genitiana macrophylla)をはじめ、チベット自治区、雲南・四川省などに分布するソケイジンギョウ(G.crassicaulis)、チベットリンドウ(G.tibetica)などの植…

神麹

○神麹(しんきく) 日本では米を蒸して酵母菌により発酵させた麹を神麹という。中国では小麦粉や米の麩に赤小豆粉、杏仁泥、青蒿、蒼耳、野辣蓼を混合して発酵させたものをいう。 現在、一般的な中国の製法は新鮮な青蒿(カワラニンジン)、蒼耳(オナモミ)…

晋耆

○晋耆(しんぎ) 中国の甘粛省・寧夏・四川省などに分布するマメ科の多年草ヘディサルム・ポリボトリス(Hedysarum polybotrys)の根を用いる。これと同属植物にイワオウギ(H.esculentum)があり、イワオウギの根は和晋耆と称されている。 いわゆる黄耆の基…

辛夷

○辛夷(しんい) 中国を原産とするモクレン科の落葉樹モクレン(Magnolia quinquepeta)やハナモクレン(M.heptapeta)、ボウシュンカ(M.bionadii)などの花蕾を乾燥したものを用いる。 中国で辛夷といえば紫色の花のモクレン(シモクレン)のことで木蓮・…

地竜

○地竜(じりゅう) 日本、朝鮮半島、中国の山野や畑などに生息するミミズ科の乾燥したものを用いる。中国ではフトミミズ科の参環毛蚓(Pheretima aspergillum)やツリミミズ科に属するカッショクツリミミズ(Allolobophora caliginosa trapezoides)というミ…

蒔蘿子

○蒔蘿子(じらし) ヨーロッパの地中海沿岸地方や西アジアを原産とするセリ科の一年草イノンド(Anethum graveolens)の果実を用いる。ヒメウイキョウとかデイルという名の香辛料としても知られ、古代メソポタミアやエジプトで栽培された最も古い香草、薬草…