漢方生薬辞典

約780種の生薬を五十音順に紹介。日本の漢方薬や伝統薬に配合されている和漢生薬、民間薬、ハーブなども紹介。

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2013-07-01から1ヶ月間の記事一覧

赤小豆

○赤小豆(せきしょうず) 中国南部原産のマメ科の一年草アズキ(Phaseplus angularis)やツルアズキ(P.calcaratus)の成熟した種子を用いる。ツルアズキはアズキに似ているがつるがあり、インドや東アジアで栽培されている。 アズキは古くから食用としてア…

石松子

○石松子(せきしょうし) 日本、北半球の温帯・暖帯に広く分布する常緑シダ植物ヒカゲノカズラ科のヒカゲノカズラ(Lycopodium clavatum)の胞子を用いる。全草は石松あるいは伸筋草という生薬名で呼ばれる。 ヒカゲノカズラは産地の林緑などの日当たりのよ…

赤芍

○赤芍(せきしゃく) 中国北部を原産とするボタン科の多年草シャクヤク(Paeonia lactiflora)の根の外皮のついたままのものを用いる。外皮を除いたものを白芍という。また赤芍には野生種のベニバナヤマシャクヤク(P.obovata)やセンセキシャク(P.veitchii…

石蒜

○石蒜(せきそう) 日本の本州以南、中国の温帯に分布するヒガンバナ科の多年草ヒガンバナ(Lycoris radiata)の鱗茎を用いる。9月下旬、秋の彼岸のころに鮮やかな赤い花をつけるので彼岸花と呼ばれる。赤い花を意味するマンジュシャゲ(曼珠沙華)の別名も…

石韋

○石韋(せきい) 日本の関東以南及び朝鮮半島や台湾、中国南部、インドシナに分布するウラボシ科の常緑シダ植物ヒトツバ(Pyrrosia lingua)などの同属植物の葉を用いる。ヒトツバは暖地の乾燥した岩や葉に群生し、普通にみられる常緑のシダである。根は石韋…

西洋トチノキ

○西洋トチノキ バルカン半島のトチノキ科の落葉高木セイヨウトチノキ(Aesculus hippocastanum)の種子を用いる。欧米では街路樹として広く植栽され、パリのマロニエとして知られているのはこのセイヨウトチノキのことである。ちなみに英語名はホース・チェ…

西洋参

○西洋参(せいようじん) 北アメリカ原産で、カナダやアメリカの肥沃な森林に自生しているウコギ科のアメリカニンジン(Panax quinquefolis)の根を用いる。 17世紀末に薬用人参の効能がヨーロッパに紹介され、18世の初めにその論文を目にしたカナダの宣…

青木香

○青木香(せいもっこう) 関東以西、四国、九州及び中国に分布するウマノスズクサ科のつる性多年草ウマノスズクサ(Aristolochia debilis)などの根を用いる。 日当たりのよい山野に自生するつる性の植物で、つるからぶらさがった果実の形が馬の首にかける鈴…

青風藤

○青風藤(せいふうとう) ツヅラフジ科のオオツヅラフジ(Sinomenium actum)や華防己(Diploclisia chinensis)、アワブキ科のアオカズラ(Sabia japonica)などのつる性の茎をいう。 オオツヅラフジは単にツヅラフジともいい、日本の関東以西、四国、九州…

青皮

○青皮(せいひ) 日本ではミカン科の常緑高木ウンシュウミカン(Citrus unshiu)のまだ青い、黄熟する前の果皮を青皮という。成熟果実の果皮は陳皮といい、未熟な果実は枳実としても用いられる。中国ではオオベニミカン(C.tangerina)やコベニミカン(C.ery…

青黛

○青黛(せいたい) キツネゴマ科のリュウキュウアイ(Strobilanthes cusia)、マメ科のタイワンコマツナギ(Indigofera tinctoria)、アブラナ科の植物のホソバタイセイ(Isatis tinctoria)などの葉や茎に含まれる色素を用いる。 リュウキュウアイはインド…

青葙子

○青葙子(せいそうし) 熱帯の荒地に広く分布するヒユ科の一年草ノゲイトウ(Celosia argentea)の種子を青葙子という。ただし習慣的なケイトウ(C.cristata)の種子(生薬名:鶏冠子)も青葙子として市場に出ている。また神農本草経には青葙子を草決明と記…

蠐螬

○蠐螬(せいそう) コフキコガネ科のチョウセンクロコガネ(Holotrichia diomhalia)などの昆虫の幼虫を乾燥して用いる。この幼虫は体長1.5~2cmくらいでカブトムシの幼虫によく似ている。 中国では黒龍江省から長江以南に至る広い地域に分布している…

薺菜

○薺菜(せいさい) 日本の各地をはじめ北半球に広く分布しているアブラナ科の越年草ナズナ(Capsella bursa-pastoris)の全草を用いる。ナズナは春の七草の一つで、1月7日の朝に七草粥に入れる風習が残っている。 ナズナの語源は「撫菜」で、「めでる菜」…

青蒿

○青蒿(せいこう) 本州、九州、四国、朝鮮半島、中国に分布するキクカの二年草カワラニンジン(Artemisia apiacea)の全草を用いる。このほかアジア、ヨーロッパに広く分布するクソニンジン(A.annua)の全草を用いることもある。ただしクソニンジンの全草…

西河柳

○西河柳(せいかりゅう) 中国北部及びモンゴルを原産とするギョリュウ科の落葉小高木ギョリュウ(Tamarix chinensis)の葉のついた細い幼枝を用いる。日本には江戸時代に渡来し、切花や庭園樹として植栽されている。 水湿地を好み、枝は細く垂れ下がって全…

西瓜

○西瓜(すいか) 熱帯アフリカ原産のウリ科のつる性一年草スイカ(Citrullus vulgaris)の果実を用いる。中国へは中央アジアを経て11世紀に、日本には寛永年間に渡来したといわれている。スイカの果肉部分を西瓜といい、その汁を服用する。また厚皮の最外…

鈴蘭

○鈴蘭(すずらん) 北海道や本州の長野県・群馬県・朝鮮半島、中国、シベリアなどに分布するユリ科の多年草スズラン(Convallaria majalis var.keiskei)の根及び全草を用いる。 高山や山地の湿地帯に群生し、キミカゲソウ(君影草)という別名もある。現在…

豆豉

○豆豉(ずし) マメ科ダイズのの種子(Glycine max)を蒸して麹菌を用いて発酵させたものを乾燥して用いる。中国では淡豆豉あるいは香豉、淡豉などという。漢方生薬では一般に「豆豉」と称しているが、最近、健康食品として「豆鼓」という名称でも扱われてい…

津蟹

○津蟹(ずがに) 日本から台湾にかけて生息するイワガニ科のモズクガニ(Eriocheir japonicus)を用いる。中国の近縁種のシナモクズガニ(E.sinensis)を蟹として薬用にする。 モズクガニは河口の泥地や磯辺に生息する蟹で、甲羅は5cmくらいの四角形で体…

水蓼

○水蓼(すいりょう) 日本をはじめ北半球に広く分布するタデ科の一年草ヤナギタデ(Polygonum hydropiper)の全草を用いる。果実は蓼実という。河川や湿地など水辺に生え、中国名は水蓼という。 ヤナギタデはホンタデ、マタデとも呼ばれ、一般にタデといえば…

水揚梅

○水揚梅(すいようばい) 日本の各地や中国に自生しているバラ科の多年草ダイコンソウ(Geum japonicum)の全草を用いる。下葉(根生薬)の形が大根の葉に似ているためダイコンソウという。中国で水揚梅という植物には、このほかアカネ科の植物Adina rubella…

水蛭

○水蛭(すいてつ) 日本、中国、朝鮮半島の池や沼に生息するヒルド科のチスイビル(Hirudo mipponia)をはじめ、ウマビル(Whitmania pigra)、チャイロビル(W.acranulata)などをそのまま乾燥したものを用いる。 チスイビルは体長3~5cm、ウマビルは6…

水仙根

○水仙根(すいせんこん) 地中海沿岸に分布し、ギリシャ、中国を経て、日本に渡来したヒガンバナ科の多年草スイセン(Narcissus tazetta)の鱗茎を用いる。また花は水仙花という。ニホンズイセンはフサザキスイセンの変種といわれ、現在では伊豆や淡路島、越…