漢方生薬辞典

約780種の生薬を五十音順に紹介。日本の漢方薬や伝統薬に配合されている和漢生薬、民間薬、ハーブなども紹介。

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五霊脂

○五霊脂(ごれいし)

 中国の各地に生息するムササビ科のムササビの一種、中国名で橙足鼯鼠(Trogopterus xanthipes)および飛鼠(Pteromys volans)などの乾燥した糞便を用いる。

 かつて五霊脂はオオコウモリの糞と考えられていたこともある。鼯鼠は体長50cmくらい、飛鼠は体長15cmくらいのムササビで、前後の足の間には飛膜があり、樹木の間を滑空する。夜行性で木の実や若い枝葉などを食べる。飛鼠は木の穴に巣を作るが、鼯鼠は崖の上の洞穴や岩の割れ目に巣を作り、洞穴の周囲には灰黒色の糞便がみられる。現在、おもに中国の河北・山西・陝西省で産出する。

 五霊脂は形状によって霊脂と霊脂米に区別され、霊脂塊は粒状の糞が凝縮した不規則な塊状のもので、霊脂米は細長い卵円形のものである。表面の色は褐色で軽くて砕けやすく、断面は黄褐色で繊維状である。味は塩辛く苦味があり、臭いはほとんどない。

 成分にビタミンA類の物質が含まれている。漢方では活血化瘀・止痛の効能があり、生理痛や産後の腹痛など主に瘀血による疼痛に用いる。生で用いると活血作用、炒って用いると止血作用が強まるとされている。炒りながら酢や酒を加え、乾燥したものがよく用いられる。

 産後の腹痛や生理痛、狭心症などに蒲黄と配合する(失笑散)。腹部に腫塊があり、疼痛や出血のみられるときには当帰・赤芍などと配合する(少腹逐瘀湯)。また解毒薬として蛇やムカデ、サソリなどに咬まれたときに外用する。

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