漢方生薬辞典

約780種の生薬を五十音順に紹介。日本の漢方薬や伝統薬に配合されている和漢生薬、民間薬、ハーブなども紹介。

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熟地黄

○熟地黄(じゅくじおう)

 中国原産のゴマノハグサ科多年草ジオウ(Rehmannia glutinosa)の根を加工したものを用いる。熟地黄には蒸気で蒸す蒸熟地黄と紹興酒などの醸造酒を加えて蒸す酒熟地黄とがある。

 ジオウの根を酒に漬け、それを蒸し器で蒸し、日干しして半乾きしたものを再び酒に漬けるといった行程を全体が黒くなるまで何度か繰り返して行い、九回繰り返して製造したものは九蒸九といわれ、最上品とされている。

 熟地黄は内外ともに漆黒で、光沢があり、柔らかく、断面はしっとりとして、非常に甘味がある。地黄は、修治により生地黄、乾地黄、熟地黄に大別されるが、日本薬局方では両者をジオウとして規定しているため、一般に地黄といえば乾地黄のことをいう。

 生地黄と熟地黄の成分の違いとして、熟地黄への修治の過程でカタルポールなどのイリドイド配糖体が消失し、フェネチルアルコール配糖体のアセトサイドやプロサイドが生成され、オリゴ糖のスタキオースが分解して果糖などの単糖類が増加するといわれている。薬性も生地黄の甘苦・大寒から、熟地黄の甘・微温へと変化し、清熱作用から滋養作用へと効能も変化している。

 漢方では補陰・補血の効能があり、膝や腰の萎弱、性機能低下、泌尿器疾患、月経不順、耳や目の衰えなどに用いる。ただし、熟地黄は吸収されにくいため、胃腸が虚弱な場合には腹が張ったり、便が緩んだりすることがある。ちなみに傷寒論金匱要略では生地黄と乾地黄のみが用いられており、熟地黄は宋代の本草図経(1058)において初めて登場する。

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