漢方生薬辞典

約780種の生薬を五十音順に紹介。日本の漢方薬や伝統薬に配合されている和漢生薬、民間薬、ハーブなども紹介。

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2012-01-01から1ヶ月間の記事一覧

一角

○一角 北極海に生息するイッカク科の哺乳類イッカク(Monodon monoceros)の牙を用いる。イッカクはイルカの近縁動物で、体調は約5mで、雄の上顎に1対ある歯牙のひとつの門歯が長くなり、細長く2m以上に伸びるため、イッカクあるいはウニコルン(ユニコ…

一位葉

○一位葉(いちいよう) 日本の各地、朝鮮半島、中国に分布するイチイ科の常緑針葉高木イチイの葉を用いる。日本では特に中部地方以北の深山に多く自生し、アララギやオンコなどの呼び名もある。中国ではイチイの枝や葉を紫杉の菜で生薬として用いている。 か…

伊豆縮砂

○伊豆縮砂(いずしゅくしゃ) 関東地方以西、四国、九州、台湾、中国に分布するショウガ科の多年草ハナミョウガ(Alpinia japonica)の種子を用いる。中国の生薬名ではハナミョウガの種子を土砂仁、全草を山姜という。葉がミョウガに似て、花が目立つことか…

郁李仁

○郁李仁(いくりにん) 中国北部原産のバラ科の落葉低木ニワウメ(Prunus japonica)やコニワザクラ(P.humilis)などの種子を用いる。根も郁李根として用いる。現在、郁李仁の市場品には大李仁と小李仁の2種類がある。ただし、大李仁は主にバラ科のユスラ…

硫黄

○硫黄 天然に産する硫黄の単体、硫黄鉱(サルファSulphur)を加熱、加工したものを用いる。火山国の日本で盛んに採掘され、海外へ輸出していたこともある。現在、硫黄は石油精製過程で得られるため、日本の硫黄鉱山はほとんど閉山となっている。また金属硫化…

安息香

○安息香(あんそくこう) エゴノキ科の高木で、インドネシアに分布するアンソクコウノキ(Styrax benzoin)、タイや東南アジアや中国南部に分布するシャムアンソクコウノキ(S.tonkinensis)の樹脂を用いる。樹幹に傷つけると黄色の樹液と白色の樹脂が徐々に…

アロエ

○アロエ アロエはアフリカの地中海沿岸部を原産とするユリ科の植物であり、アロエとは、アラビア語で苦いという意味である。中国では蘆薈薈と記し、日本に渡来して蘆薈をロカイと読み、和名となった。アロエは600種類ぐらいが知られているが、代表的なも…

アルカロイド

○アルカロイド 植物の中には分子内に窒素を含み塩基性を示す成分があり、これらをアルカリのようなものということからアルカロイドと総称する。アミノ酸から生合成され、ヒトの生理活性アミンと類似の構造を持つため、強い生物活性を持つ。植物毒の多くはア…

あり

○あり(蟻) 中国南部の広西省、雲南省に分布するアリ(Polyrhachis vicina)を用いる。アリは南極と北極を除いて世界中に分布し、現在約8800種が知られており、日本でも277種のアリが報告されている。 中国南部や東南アジアではツムギアリを、オース…

あまにん

○あまにん(亜麻仁) 中央アジア原産のアマ科の一年草アマ(Linum usitatissimum)の種子を用いる。アマは茎に強い繊維があり古くからリンネル(リネン)として用いられ、また種子からはアマニ油(亜麻仁油)という良質の乾性油が採れる。亜麻の品種は繊維用…

あまちゃづる

○あまちゃづる(甘茶蔓) 日本では北海道から九州、朝鮮半島、中国、インドなどに分布するウリ科のつる性多年草アマチャヅル(Gynostemma pentaphyllum)の葉あるいは全草を用いる。中国では生薬名を七葉胆といい、欧米では絞股藍(jiaogulan)の発音からジ…

あまちゃ

○あまちゃ(甘茶) 本州の山間に自生し、日本各地で庭木などとして栽培されているユキノシタ科の落葉低木アマチャ(Hydrangea macrophylla var.thunbergii)の葉を用いる。アマチャはヤマアジサイと外見は区別できないが、このヤマアジサイの甘味変種とされ…

あへん

○あへん(阿片) 西アジア原産のケシ科の越年草ケシ(Papaver somniferum)の未熟果の乳液を凝固したものを用いる。果皮を刃物で浅く傷つけると直ちに白色の乳液が分泌する。この乳液は大気中で次第に微紅色から褐色に変化して粘稠化するが、翌朝に竹の刀で…

あせんやく

○あせんやく(阿仙薬) アカネ科のつる性常緑低木ガンビールノキ(Uncaria gambir)の葉や枝を煮詰めて濾過した後、濃縮・乾燥したエキスをいう。これとは別にマメ科の落葉高木アセンヤクノキ(Acacia catechu)の心材を煎じて濃縮・乾燥したペグ阿仙薬とい…

あせび

○あせび(馬酔木) 東北地方以南、四国、九州の暖温帯の山地に自生するツツジ科の常緑低木アセビ(Pieris japonia)の茎葉を用いる。生垣などの庭園樹としてもよく植えられ、春に白い鈴のような花が並んで下垂する。アセビは日本特産のため馬酔木というのは…

あしたば

○あしたば(明日葉) 関東、東海地方、紀伊半島などの温暖な海岸地帯に生えるセリ科の多年草アシタバ(Angelica keiskei)の葉を用いる。成長が早く、葉を摘んでも明日になるとまた葉がのび出すことからアシタバの名がある。春先の若葉は食用にでき、ゆでて…

あきょう

○あきょう(阿膠) ウマ科動物のロバ(Equus asinus)の皮を、毛を取り除いてから煮て膠(にかわ)にしたものをいう。にかわとは煮皮のことで、粗製のゼラチンのことである。現在はロバ以外にも牛、馬、羊などの皮も用いる。主産地は中国の山東・浙江省で、…

あぎ

○あぎ(阿魏) 中央アジア、イラン、チベット自治区、新疆ウイグル自治区などの乾燥地帯で産するセリ科の多年草アギ(Ferula assa-foetid)の茎や根茎からとれる樹脂を用いる。 開花前の茎を切断すると断面に乳液が進出して10日ほどで凝固するので、これを…

あかめがしわ

○あかめがしわ(赤目柏) 本州以南、中国南部、台湾などに分布しているトウダイクサ科の落葉高木アカメガシワ(Mallotus japonica)の樹皮を用いる。若芽が赤いためアカメといい、柏餅の柏の葉のように食べ物を包んだりしたためアカメガシワという。ただし、…

あかしょうま

○あかしょうま(赤升麻) 日本の北海道から九州にかけて北から南に分布するユキノシタ科の多年草アカショウマ(Astilbe thunbergii)の根茎を用いる。アカショウマの近縁植物であるトリアシショウマ(A.thinbergii var.congesta)、チダケサシ(A.microphyll…

あかざ

○あかざ(藜) インドや中国が原産である。古くから日本にも渡来しているアカザ科の一年草アカザ(Chenpopdium album var.centrorubrum)の葉を用いる。新芽や若い葉は紅色がかっているためアカザの名があるが、赤味のない変種をシロザという。かつては世界…

あおき

○あおき(青木) 関東地方以西の本州、四国に分布する日本特産のミズキ科の常緑低木アオキ(Aucuba japonica)の生の葉を用いる。北海道や東北地方、山陰地方には変種のヒメアオキ、九州や沖縄にも変種のナンゴクアオキが分布している。中国ではアオキの同属…