漢方生薬辞典

約780種の生薬を五十音順に紹介。日本の漢方薬や伝統薬に配合されている和漢生薬、民間薬、ハーブなども紹介。

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土荊芥

○土荊芥(どけいがい)

 メキシコおよび西インド原産のアカザ科一年草アリタソウ(Chenopodium ambrosioides)の花穂のついた全草を用いる。日本には天正年間に南蛮人によって伝えられ、ルウダソウの別名もある。アリタソウの名は佐賀県有田栽培されていたという説やスペイン語のルーダに由来するという説がある。近年では毛の多いケアタリソウやアメリカアリタソウなどが北米大陸から帰化して日本各地に自生している。

 アリタソウの全草に独特の強い臭いがあり、この草を家の入り口にかけておけば災いを免れるといった言い伝えもある。全草には精油のヘノポジ油が含まれ、その主成分はアスカリドールである。

 アスカリドールは加熱すると爆発する性質があり、寄生虫に対する強い駈虫作用がある。またアメーバ赤痢白癬菌症に対しても効果がある。しかし、過量に服用し、吸収されると悪心、嘔吐を起こし、ひどければ腸管麻痺や耳鳴り、難聴、視覚障害、痙攣や意識障害などの副作用があるため、必ずヒマシ油などの下剤と併用する。

 漢方では性味は辛・温・有毒であり、駆虫・殺虫の効能がある。中国では駆虫薬として用いるほか、関節リウマチや脱肛にも用いられる。また頭虱や湿疹、毒蛇咬傷、出血などに外用する。メキシコや中南米ではエパソーテ(Epazote)と呼ばれ、独特の匂い科のある香辛料として利用され、薬用としては腹部膨満や無月経、マラリア、喘息などに効果のあるハーブとして知られている。