漢方生薬辞典

約780種の生薬を五十音順に紹介。日本の漢方薬や伝統薬に配合されている和漢生薬、民間薬、ハーブなども紹介。

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2012-09-01から1ヶ月間の記事一覧

牽牛子

○牽牛子(けんごし) 熱帯アジア原産とされるヒルガオ科のつる性一年草アサガオ(Pharbitis nil)の種子を用いる。熱帯アメリカ原産のマルバアサガオ(P.purpurea)の種子も用いられる。 朝早く咲いて午前中にしぼむため朝顔という名があり、中国名の牽牛子…

芫花

○芫花(げんか) 中国、台湾原産のジンチョウゲ科の落葉低木フジモドキ(Daphene genkwa)の花蕾を用いる。サツマフジとも呼ばれ、日本には江戸時代初期に渡来し、庭や公園など植栽され、九州では野生化している。春に淡青紫色の小さな花を咲かせる。 花には…

血余炭

○血余炭(けつよたん) ヒトの頭髪の毛を黒焼きにして炭にしたものを用いる。集めた髪の毛を鍋の中に入れて密封し、とろ火で焼いて、冷めるのを待って取り出す。色は真っ黒色で光沢があり、非常に軽くて脆い。 成分には高タンパク質、配分中にはカルシウム、…

決明子

○決明子(けつめいし) 熱帯地方に分布するマメ科の低木性植物コエビスグサ(Cassia tora)およびエビスグサ(C.ovtusifolia)の種子を決明子という。 日本でおもに栽培されている決明子は北米原産のエビスグサである。しかし中国でいう決明子は熱帯アジア原…

血竭

○血竭(けっけつ) スマトラやボルネオ、マレー半島などに産するヤシ科の常緑つる性本木キリンケツヤシ(Daemonorops draco)、または同属植物の果実表面の鱗片間および樹幹から分泌する紅色の樹脂を用いる。別名を麒麟血といい、英語でもdragon's bloodとい…

月桂樹

○月桂樹(げっけいじゅ) 地中海を原産とするクスノキ科の常緑高木ゲッケイジュ(Laurus nobilis)の葉や果実を用いる。葉を月桂葉、果実を月桂実ともいう。 月桂樹は1905年頃にフランスから日本へ渡来した新しい輸入植物であり、日露戦争の戦勝記念樹と…

月季花

○月季花(げっきか) 中国原産で中国の西部に分布しているバラ科の常緑低木コウシンバラ(Rosa chinensis)の花蕾や開きかけた花を用いる。紅紫色や淡紅色の花が四季を通して咲くためコウシン(庚申)バラの名がある。 花にはローズ油と同じ成分が含まれ、よ…

軽粉

○軽粉(けいふん) 粗製塩化第一水銀の結晶を軽粉という。化学名を甘汞(Hg2Cl2またはHgCl)という。軽粉をさらに生成すると粉霜になる。 水銀と胆礬(硫酸銅)や白礬(硫酸アルミニウム・カリウム)、さらに食塩(塩化ナトリウム)を混合して過熱…

桂皮

○桂皮(けいひ) 中国南部やインドシナ半島に自生し、栽培されているクスノキ科の常緑高木ケイ(Cinnamomum cassia)の樹皮を桂皮という。 桂皮は薬料、香料として古くから世界各地で用いられ、神農本草経をはじめエジプトのエーベルス・パピルス、インドの…

鶏内金

○鶏内金(けいないきん) キジ科ニワトリの胃である砂囊の内膜を用いる。砂囊を取り出してまだ温かいうちに内膜を剥ぎ取って水洗いし、乾燥する。 養鶏は朝鮮を経て弥生時代に日本に伝わり、紀元前300年よりも以前に飼われていたと推定されている。最初は…

景天三七

○景天三七(けいてんさんしち) 日本全土、東アジアからシベリアにかけて分布するベンケイソウ科の多年草ホソバノキリンソウ(Sedum aizoom)の全草を用いる。根は景天三七根という。 全草にはアルカロイドやフラボノイドなどが含まれ、凝血時間や出血時間の…

景天

○景天(けいてん) 中国原産で、日本にも古くに渡来して本州や九州などにも野生化しているベンケイソウ科の多年草ベンケイソウ(Sedum erythrostictum)の全草を用いる。根を抜いても容易に枯れない強さがあり、不死身といわれた弁慶にたとえてベンケイソウ…

鶏屎白

○鶏屎白(けいしはく) キジ科ニワトリの糞の白い部分を用いる。糞の白い部分を日干しした後、白酒を加えながらとろ火であぶって乾燥し、それをすって粉末にする。一般に雄鶏の分がよいとされている。 鶏屎白は黄帝内経素門にも鶏矢として記載されているくら…

鶏子白

○鶏子白(けいしはく) キジ科ニワトリの卵の白身を用いる。卵殻膜は鳳凰衣という。鶏卵の約65%は白身であり、白身は粘性の違う外水様卵白、濃厚卵白、内水様卵白からできている。そのタンパク質はオボアルブミン(75%)、オボムコイド、オホムチン、…

鶏子黄

○鶏子黄(けいしおう) キジ科ニワトリの卵の黄身を用いる。白身を鶏子白、卵殻を鶏子殻、卵殻膜を鳳凰衣といい薬用にする。卵黄は約15%のタンパク質と約30%の脂肪分を含み、糖質は0.2%と少ない。卵黄タンパク質の大部分はリポビテリン、リポビテ…

桂枝

○桂枝(けいし) 中国南部やインドシナ半島に自生し、栽培されているクスノキ科の常緑高木ケイ(Cinnamomum cassia)の若枝を桂枝という。ケイは学名をシナモム・カシアといい、カシア(シナ肉桂)とも呼ばれている。 一般にケイのことをシナモンと総称する…

鶏骨草

○鶏骨草(けいこつそう) 東南アジアからマレーシアにかけて分布しているマメ科のつる性木本シロトウアズキ(Abrus fruticulosus)の根つきの全草を用いる。鶏骨草は中国の広東・広西省で用いられていた民間薬である。 成分にはアブリン、コリン、ステロイド…

鶏血藤

○鶏血藤(けいけっとう) 中国の南部、台湾に分布し、沖縄県で観賞用として栽培されるマメ科のつる性植物ムラサキナツフジ(Millettia reticulata)などのつる茎を用いる。 この鶏血藤と呼ばれる生薬は広東・広西・甘粛省ではムラサキナツフジ、広東・広西・…

鶏冠花

○鶏冠花(けいかんか) 熱帯アジア、インドを原産とするヒユ科の一年草ケイトウ(Celosia cristata)の花序を用いる。ただし一般に流通しているのはノゲイトウ(C.argentea)の花穂である。本来、ノゲイトウの花は青葙花、種子は青葙子というが、混同される…

鶏肝

○鶏肝(けいかん) キジ科のニワトリの肝臓を用いる。紀元前3200年頃にマレー半島でニワトリの野生種を飼育して家畜化したのが養鶏の始まりで、前1400年頃に中国に伝わり、日本には弥生時代に青銅器文化とともに朝鮮から伝えられたといわれている。 …