芭蕉
○芭蕉(ばしょう)
中国南部あるいは東南アジアを原産とするバショウ科の大型多年草バショウ(Musa basjoo)の葉を芭蕉葉、根を芭蕉根という。大きいために樹木と間違えられるが、茎(葉鞘)は木質化しない。日本でも観葉植物として暖地に広く栽培され、英語名ではジャパニーズ・バナナ(Japanease banana)と呼ばれる。
バナナとは近縁種で草姿もよく似ており、バナナのことを和名ではミバショウ(実芭蕉)といい、中国では甘蕉あるいは香蕉と呼ぶ。ちなみに果物のバナナの栽培は先史時代からインドで行われていたが、偶然発見された種子のない変異種を株分けで栽培したのが始まりである。またマニラアサ(アバカ)もバショウと同属植物で、その葉の繊維はマニラ麻として知られている。
バショウの葉および根の成分や薬理は明らかでない。漢方では芭蕉葉と芭蕉根のいずれにも清熱・解毒・利尿の効能があるとし、熱病、腫れ物、脚気、浮腫に用いる。日本の民間療法では葉や根を煎じて風邪や中風などに用いる。また生の茎の絞り汁は解熱・利尿薬として、生の葉の汁は傷や乳の腫れ物などに用いる。咽に骨の刺さったときに葉の黒焼きを白湯で飲むとよい。